ニールズヤードとのコラボレーションを決めた理由とは?
小田:
ニールズヤードさんは個人的にも大好きなブランドで、ロンドンの一号店にも足を運んだことがあるほどなんですが、そもそもニールズヤードさんを選ばれた理由って?
藤田:
お店の雰囲気とかアロマ製品の並び方とか、とにかくニールズヤードさんは綺麗に見えたんですよ。統一感もあって。
一言でいうと、ニールズヤードさんの丁寧な感じが見えたんです。お店の空間やスタッフさんから。
だからきっとここっていいんだろうなと直感的に思ったんです。
ニールズヤードさんのサイトやパンフレットからも、アロマのある穏やかそうな生活、日常がちょっと丁寧な感じになる…そういったイメージが受け取れて。
もちろんそう訴えかけている対象は女性がメインだと思いますが、男性視点からしても、そういうイメージって男性にも良さそうだなと感じました。まさにそこがはまったんです。
でも、ニールズヤードさんとコネクションがあったわけではないので、普通にお客様問い合わせ窓口からメールを送って、打ち合わせをお願いしたところから始まりました。
ニールズヤードさんにとっては、大手企業のソニーから連絡が来るなんて意外すぎて、最初は困惑されたそうなんです。
何かのいたずらなんじゃないかと(笑)
これまでも、ニールズヤードさんには香りをただ単に使わせてくださいというお話はあったそうなんですが、僕らが変なコンセプトを持ってきた!みたいな感じで。でも逆にそれが新鮮だったようなんです。
ニールズヤードの梶原代表にも斬新なコンセプトだと思っていただけたようで。もしかしたら、(AROMASTICは)新たな価値を生み出すイノベーションなのかもしれないという期待感があったそうです。恐縮な話なんですけどね。
そこからやりとりも早くて、同じ時間の流れを共有しながら進めていくことができました。
AROMASTICは女性はもちろん、男性にも含めて広めていきたいという思いが込められていて、パンフレットも中身は同じですが、男性バージョンもあります。
AROMASTIC本体について
小田:
AROMASTICの使い方やデザインについてもお話を聞かせてください。
アロマはたくさんの種類があって選ぶのも大変という悩みをよく聞きますが、AROMASTICなら3パターンの香りカートリッジから選びやすいのも魅力的ですね。
1つのカートリッジにはそれぞれ5種類の香りがあって。
でもなぜ5種類にしたのでしょうか?
藤田:
ユーザー調査を実施して、ひとつのカートリッジの中には5種類くらいが最も良さそうだったので、ひとまず5種類でスタートしました。
ただ、設計仕様としては、本体を変えることなく香りの種類は増やせるので、今後出るカードリッジは5種類以外も出るかもしれません。
カラフルなダイヤルで香りを選ぶワクワク感も
小田:
この香りのダイヤルも、上から見てみるとカラフルでおしゃれですね。
藤田:
そうですね。気分に合わせた香りをその時々で選べるようにしています。
小田:
気分に合わせて香りを選ぶというのは今までにない新しい発想ですよね。
香りを家の中だけではなく、外にも持ち運んで個人で楽しむのが当たり前になる時代がやってくる…そんな期待感も持ちました。
目には見えないけれどすごい技術が詰まっている
小田:
カートリッジに使われているScentents™(センテンツ)テクノロジーも、ソニーさんならではの特徴的な技術なんですよね?
きっとすごい技術だと思うのですが、いろいろ調べてみても、ちょっと難しくてイメージがわかなかったのですが…。
藤田:
イメージでいうと、このカートリッジの中に細くて複雑な菅が張り巡らされている感じなんです。
さらにその管の中は表面積を上げる細かい構造になっていて、その結果、香りがより長持ちし、効果的に香りを広げることができるんです。この構造は自分がアメリカ留学時代に学んだ技術(マイクロ流路技術)を活かしました。
でも、これは既存の製造工程では作ることができず、3Dプリンティングというもので唯一実現できるのですが、実際にはカートリッジの構造はものすごく細かいので、一般的な3Dプリンターでは作ることができません。
そこで、我々はこのカートリッジを製造するための3Dプリンター自体も新たに開発しました。
実はその3Dプリンター自体も世界的に見てもすごい技術を使っていて、その精度と高速性で注目を集めています。
3Dプリンターを用いて、一般消費者向けの製品部品を作ること自体も非常に珍しいことなので、そこも注目されているんですよ。
技術的には外には見えない部分なのでお客様はあまり気にされることがないのですが、何気にすごい技術が詰まっています。
小田:
なるほど。アイデアとしてはどこでも真似できそうですが、実際にはソニーさんだからこそ実現できる技術なんですね。
しかし、これだけのために専用の3Dプリンターまで開発されるとは…すごい!
細かい機能に至るまでユーザーの声を反映
小田:
あとは、このボタンを押すと最長で10秒間香りが出てきますよね。
だいたい10秒間で2回くらい深呼吸できるなぁと思ったんですが。
藤田:
おっしゃるとおりな感じで、これもユーザーの方の声を聞いて設計しました。
小田:
なるほど。AROMASTICの基本的な機能は、実際にインタビューをされて一番いいものを採用されたんですね。
藤田:
そうですね、インタビューしたり、自分で使ってみたり。
例えば、ダブルクリックモード(2回押しで30秒間香りが出続ける機能)はなかったんですけど、クラウドファンディングの支援者から要望があって。
30分くらい瞑想をじっくりやるような人は、この期間が30秒くらいあると気持ちを変えられるという方が複数名いらっしゃったので、なるほど!と思い追加した機能です。
ホールド機能(ボタンが押せない部分)、これもカバンの中で勝手にボタンが押されることがないように、というニーズに応えるために追加しました。
小田:
そういう工夫もうれしいですね。