こんにちは、介護アロマセラピストの坂内美由紀です。
超高齢社会の今、大切な家族が介護を必要とするとき、少しでも力になれたら・・・と、アロマハンドトリートメントを学ぶ方が増えています。
また、家族が介護生活中に何もしてあげることができなかったから、と介護施設でボランティアを始める方も多くなってきました。
今回は、介護施設で高齢者の方々にアロマハンドトリートメントを10年間続けてきた私が、介護に役立つアロマハンドトリートメントをご紹介します。
高齢者の方へのアロマハンドトリートメントの魅力
“ハグ”という習慣がない私たち日本人にとって、大切な家族が介護を必要としているときでも、なかなか“手をにぎる”ことが恥ずかしくてできない方もいらっしゃると思います。
“アロマハンドトリートメント”というツールを活用して肌に触れ合うことで、大切な家族とのコミュニケーションを深めることができるのはもちろんのこと、心地よいスキンタッチの刺激により、お互いに癒しホルモンが分泌され、不安感やストレスを軽減できるといわれています。
アロマハンドトリートメントをお薦めしたい理由
手軽にできる
アロマハンドトリートメントは手を出すだけでできるので気軽に誰でもはじめることができます。
気持ちがおちつく
心地よいタッチングと香りは、介護をされる側とする側、両者のメンタル面にも働きかけます。介護の度合いがあがってきて、自分の言いたいことが伝わらないことなどでイライラした気持ちをおちつかせることができます。
感謝の想いを伝える
言葉でなかなか感謝の想いを伝えられないとき、手をさすることでお互いに何も言えなくてもこころで通じあったり、アイコンタクトで感じることができます。
アロマオイル(精油)や植物油の選び方とポイント
たくさんある精油や植物油の中から、私がいつもよく使用するものをご紹介します。
【 精油 】
ラベンダー
気持ちをおちつかせたり、昼寝をしてしまって夜眠れなくなってしまっているときや、寝つけないときなどに。
スウィートオレンジ
体が冷えているときや元気をだしたいときなどに。ラベンダー同様寝つけないときにも。
ティートリー
風邪やインフルエンザが流行っている時期や、免疫力を高めてくれるので体を元気にしたいときに。
【 植物油 】
ホホバオイル
皮膚をやわらかくしたり、保湿力が優れています。浸透力も優れているので、アロマハンドトリートメント後のべたつき感もあまり気になりません。
スウィートアーモンドオイル
乾燥したお肌に適しているオイルです。かゆみや炎症のあるお肌にも優しいので高齢者の方にも安心して使えます。
アロマハンドトリートメントの基本的な手順と手技
必要なもの
・バスタオル1枚
・フェイスタオル2枚
・ブレンドオイル(器に10ミリの植物油と精油1滴を混ぜたもの)
・ホットタオル または ウェットティッシュ
手順
[1] バスタオルをしいて、その上にフェイスタオルで手や腕を包み込み、手をそっとのせます。
[2] 500円玉くらいの量のブレンドオイルを自分の手にとり、手のひらでなじませたら、握手をするようにオイルをすりこませていきます。
[3] ひじまでオイルをすりこませます。
[4] 左手で手のひらを持ち、右手で手首から肘まですべらせます。3回ほどやったら、今度は持つ手を逆にして同じことを行います。
[5] 手のひらを刺激していきます。
[6] 指の関節の周りをぐるぐると両方の親指で刺激をしていきます。
[7] 指の付け根から1本ずつ丁寧にくるくるとらせん状に爪の先までやり、爪の生え際を上下左右をぐっと押します。
[8] 3の工程と同じような感じで優しく肘まで全体を撫でさすります。
[9] 指先まで丁寧に包み込みながらそっと手をすべらせます。
[10] 最後に1と同じように手と腕をフェイスタオルで包み込み、その上に手をのせます。これで終了の合図になります。ホットタオルやウェットティッシュでふき取った後は、フェイスタオルでもう一度拭き取ります。
高齢者の方へのアロマハンドトリートメントの注意点
高齢者の方のお肌はとても薄く、毛細血管も切れやすいのでゆっくりと優しく触れることが大切です。ハンドアロマトリートメントを始める前には必ずパッチテストをしてください。
始める前には体調は悪くないか、掻き傷や痛みがないかどうかなどの観察も行ってくださいね。
ブレンドオイルは0.5%濃度(植物油10ミリに精油1滴)に希釈をしてからお使いください。
おわりに
介護生活の中に気軽に取り入れられるハンドアロマトリートメント。手順は間違ってしまっても大丈夫です。
気持ちのこもったトリートメントを心がければ、家族間の関係性も変化していきます。
精油を使うのはちょっと、と思うときは植物油のみのトリートメントもOKです。是非、取り入れてみてくださいね。