アロマテラピーで用いられる精油(エッセンシャルオイル)の中には使い方に注意が必要な種類があります。その代表格が「光毒性(ひかりどくせい)」という性質をもつ精油です。
今回の記事では、
- 精油の光毒性とは?
- 光毒性をもつ可能性のある精油の一覧
- 光毒性のリスクを避ける方法
をわかりやすく解説します。アロマテラピーを安全に楽しむために、ぜひ参考にしてください。
小田 ゆき
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト
アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。セミナー講師、コラム監修、メディア出演などで幅広く活動中。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。プライベートでは1児の母。詳細プロフィールはこちら
精油の「光毒性」とは?
紫外線に反応、肌に炎症を引き起こす
精油の成分の一部には、光(とくに紫外線)と反応することで皮膚にダメージを与える作用をもつものがあります。この反応を「光毒性(ひかりどくせい)」と言い、光毒性をもつ精油を肌に使用する場合は注意が必要です。
フロクマリン類の成分に注意!
光毒性をもつ代表的な成分が「フロクマリン類」です。フロクマリン類は、紫外線にさらされると化学反応を起こし、皮膚の炎症、発疹、やけどのような症状(光感作性皮膚炎)を引き起こす可能性があります。
フロクマリン類を含む一般的な精油の中でとくに注意が必要なのが「ベルガモット精油」です。このほかに、柑橘の圧搾精油・セリ科の一部に光毒性があるのが特徴です。
【一覧】光毒性に注意が必要な精油
光毒性に注意したい主な精油
<ミカン科>
- ベルガモット
- レモン
- グレープフルーツ
- ライム
- オレンジ・ビター
<セリ科>
- アンジェリカルート
- クミン
同じ柑橘系でもオレンジ・スイートやユズ、マンダリンは大丈夫なのですか?
柑橘の圧搾精油の中でも、オレンジ・スイートやユズ、マンダリンはフロクマリン類の含有量が少ない or ほとんど含まないため、光毒性の心配はないとされています。
光毒性反応を避けるためには?
希釈濃度に注意する
光毒性のリスクは、原因物質であるフロクマリン類の含有量(濃度)に依存します。IFRA(※香料業界の安全性と品質を保証するための国際的な組織)のガイドラインでは、光毒性のある精油を皮膚に使用する際に安全とされる濃度が示されており、この基準を満たしていれば一応安全ということになります。
【参考】光毒性反応を避けるためのIFRA推奨最大濃度
精油名 | 経皮最大使用濃度 |
---|---|
ベルガモット精油 | 0.4% |
ライム精油 | 0.7% |
オレンジ・ビター精油 | 1.25% |
レモン精油 | 2.0% |
グレープフルーツ精油 | 4.0% |
肌に使用後、12〜18時間は紫外線を避ける
上記IFRAガイドラインよりも高濃度で、光毒性をもつ精油を肌に使用する場合、あるいはそもそも光毒性が心配…という場合は、12〜18時間※は紫外線にあたるのを避けるようにしましょう。※参考:精油の安全性ガイド 第2版
日光などの紫外線を避けることはもちろん、日焼けサロンも注意してくださいね(光毒性精油を塗布した後、日焼けマシーンに皮膚をさらしたことで重篤な熱傷が起きた、という報告が海外で複数あります)
光毒性のない柑橘精油もあります
「フロクマリンフリー」なら日中もOK◎
近年では、光毒性の原因物質であるフロクマリン類を除去したタイプもあり、「フロクマリンフリー(FCF)」や「ベルガプテンフリー」という名称で販売されています。通常の精油に比べると芳香がやや軽い印象になりますが、光毒性のリスクがなく日中も使えるので、アロマトリートメントや手作り香水、ボディローションなどのクラフトにおすすめです。
「水蒸気蒸留」の柑橘精油も光毒性なし◎
光毒性の原因物質であるフロクマリン類は比較的揮発性の低い分子のため、同一の柑橘果皮から得られる水蒸気蒸留精油には含まれません。そのため、水蒸気蒸留法による柑橘精油は光毒性の心配はありません。近年では、国産の柑橘精油で水蒸気蒸留法のものが手に入りますので、気になる方はチェックしてみてください。
おわりに
さて、今回は知っておきたい精油の光毒性について解説しました。
光毒性があるからといって過剰に恐れる必要はなく、適切に使えばまずトラブルが起こることはありません。
ベルガモット精油をはじめ、光毒性をもつ可能性のある精油は希釈濃度や使用シーンを考慮して、安全にアロマを楽しみましょう。