飲めるアロマに要注意!知っておきたいアロマオイル(精油)の飲用リスク

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こんにちは!薬剤師兼アロマセラピストのReikoです。

「ヨーロッパでは薬代わりのようにアロマオイル(精油)を内服している」「お医者さんが治療にアロマテラピーを取り入れている」「飲めるアロマオイルがある」そういった話を耳にされたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

本当にアロマオイルは飲めるものなのでしょうか?今回はアロマの飲用についてお話しさせていただきます。

目次

そもそもアロマオイル(精油)って何?

アロマオイル(以下、精油)は植物の芳香成分を抽出したものです。

例えば、ラベンダーの精油を1kg抽出するためには、数百キロもの大量の花が必要になります。つまり、精油は天然の素材とはいえ、植物の成分が高濃度で凝縮されたものなのです。

そのため皮膚に使用する場合は、原則として原液では使用しません。キャリアオイル(ホホバオイルやマガダミアナッツオイルなどの植物油)で希釈して使用するのが一般的です。

天然=安全なもの?

「オーガニックだから安全」「100%天然だから安全」とよく耳にしますが、それは本当でしょうか。

精油は1滴であったとしても、作用が強力なものや毒性を示すものもあり、天然=安全と考えるのは大変危険です

アロマオイル(精油)を飲用するとどうなる?

肝臓

では、精油を飲むとどうなるでしょうか。

皮膚に塗った場合と口から直接摂取する場合では、身体への影響は異なり、危険性も変わります。

まず、経口摂取したものは、簡単に説明すると小腸で吸収され、肝臓で解毒・代謝されます。

精油を原液で内服した場合、それらの成分を代謝するために肝臓が必死に働きます。継続的に精油の内服を行うと肝臓が働き続け、その結果、肝炎を起こすことも珍しくありません

これはお薬を大量に飲むと肝臓に負担がかかり、薬剤性肝炎を起こすのと同じ原理です。

お薬は安全に使用できる量がきっちりと調査されたうえで、用法用量や上限量が定められています

しかし、アロマの場合はひとつの精油に様々な成分が含まれているため、安全な使用量や上限量が定めにくいのが現状です。

実際、ウィンターグリーン(サリチル酸メチルという毒性が強い成分を95%以上含み、取り扱いに注意が必要な精油)の誤飲による死亡例が報告されていますし、オレガノ(フランスなどでは風邪の症状に抗生物質がわりのように使用されることもあるアロマ)を継続的に飲用することにより薬剤性肝炎になったという事例もあります。

特に小さいお子さんにはほんの少量でも毒性を示し、けいれんや嘔吐、下痢などの中毒症状が出る恐れもあります。

アロマオイルの誤飲相次ぐ 乳幼児12件、中毒の恐れ – 共同通信 47NEWS

肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、すぐに症状が出る器官ではありません。長期内服により薬剤性肝炎になった場合、気付いた時にはかなり重症化していると言う可能性もあり、注意が必要です。

さらに、精油に含まれる成分のなかには粘膜に刺激を与えるものもあり、原液の飲用で口腔内や胃腸を荒らす危険性もあります

ヨーロッパでは精油を内服するって本当?

フランス式のメディカルアロマでは医師が精油を処方し、アロマの内服が一般的に行なわれている…と思われている方もいらっしゃいますが、実際のところは違います。

フランスでは保険制度が充実しており、医療費は基本的に無料です。(保険加入により実質的な自己負担がゼロとなる)そのため、西洋医学のお薬に頼る方がほとんどです。

さらに、ヨーロッパ全体でみても、アロマセラピーはあくまで自然療法のひとつという位置づけで、ホメオパシーやハーブ療法よりもマイナーな存在です。

精油を内服している方もいらっしゃいますが、個人の責任のもとで行われている行為です。そして、継続して毎日内服するという使い方はしません。なぜなら、精油はとても強力なものなので、急性期症状に対して短期的に使用するのが一般的だからです。また、アロマの飲用には、はちみつや角砂糖などの希釈剤を必ず利用します。水に垂らして飲むといった飲み方はしません。

「高品質だから飲める」「本物だから飲める」には要注意

注意

「食品添加物認可を取っている」「メディカルグレードだから飲める」と聞いたことはありませんか?これらの言葉にも十分注意を払いましょう。

まず、食品添加物の指定を受けた精油は、天然の香料として食品の香りや風味づけの目的で使用されるものです。基本的にその使用量は10ppm(0.001%)程度とごく微量(参考:フレーバーの安全-日本香料工業会)で、アロマテラピーでの一般的な希釈率(マッサージで使う場合は1%前後)よりもはるかに低い濃度で使用されています。そのため、食品添加物だから安心して飲めるという考え方はとても危険です

そして、メディカルグレードを定める明確な基準や法規制は現在のところありません。あくまでメディカルグレードは通称であり、安全性が保証されているわけではないのです

アロマの内服をすすめられたことがある方、飲用されたことがある方は、その精油が本当に安全な品質であるのかを見分けられる判断能力があるかを考えてみましょう。

おわりに

私自身は自己責任のもとで精油の内服をした経験があり、身をもってその効果も実感しています。しかし正直なところ、アロマは決して美味しいものではありませんし、なにより精油の飲用には専門的な知識や細心の注意が必要です。

毒キノコに毒があると知らず、“キノコは健康にいいから”と食べるのと同じで、アロマに関して知識がない人が安易に内服することは非常に危険だということをぜひ知っておいてください

トリートメントや芳香浴でも効果は十分に期待できますので、心身の健康にアロマを上手に使って快適な生活を送っていきましょう。

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この記事を書いた人

薬剤師/AEAJ認定アロマテラピーインストラクター/AEAJ認定アロマセラピスト/IFA認定アロマセラピスト/サードメディスン認定アドバイザー
大学病院勤務中に参加した米国薬剤師セミナーにてアロマセラピーと出会う。現在は、薬局で患者さん向けにアロマの使い方を提案、クラフト講座などを開催。薬剤師として働きながら、自宅アロマサロンRINN's therapyを運営。

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