天然のアロマオイル(精油)の使用方法に関してよくご質問いただくのが、
赤ちゃんにアロマオイル(精油)は使えますか?
何歳からアロマオイルを使えるの?
というお悩みです。
アロマオイルは天然のため体に優しい…と思われがちですが、高濃度の芳香成分が凝縮されているため、その作用はたった1滴でも強力です。
そこで今回は、赤ちゃんや小さな子ども(乳幼児)にアロマオイルを使う際に知っておきたい5つのポイントをご紹介します。アロマオイルを安全に楽しむために、ぜひ最後までご覧ください。
小田 ゆき
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト
アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。セミナー講師、コラム監修、メディア出演などで幅広く活動中。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。プライベートでは1児の母。詳細プロフィールはこちら
2歳までのアロマオイル使用は「芳香浴」のみ推奨
まず、アロマオイル(精油)の使用については、何ヶ月・何歳からOKというような使用開始年齢に関する明確なルールは設けられていませんが、日本最大のアロマテラピー団体「日本アロマ環境協会(AEAJ)」のガイドラインによると、
3歳未満の幼児は、芳香浴以外は行わないようにしましょう。
AEAJ アロマテラピー検定公式テキスト
という見解となっています。
芳香浴とは、アロマディフューザーなどを使用してアロマオイル(精油)を拡散し、その香りを嗅いで楽しむこと指します。
AEAJのこのガイドラインは、日本のアロマテラピー業界の基準として広く採用されています。そのため、2歳まではアロマオイルの使用はお部屋での拡散(芳香浴)にとどめて、お風呂など肌に直接触れる用途での使用は避けることを推奨します。
赤ちゃんがいる家庭では、ごく低濃度で短時間に
出産直後や授乳中の赤ちゃんは、お母さんのにおいを記憶する大切な時期です。
アロマオイルをお部屋で拡散する場合、通常の使用量の半分以下で、ほんのりと香る程度に抑えてください。
また、1日を通してアロマを焚き続けるのは避け、15〜30分の短い時間だけの使用がおすすめです。
赤ちゃんの嗅覚は大人よりも優れているので、大人にとってはちょうどよい香りでも、赤ちゃんにとっては香りが強すぎて心身に負担となってしまうことも。不安を感じる場合は、アロマオイルの使用を控えるのが無難です。
ちなみに我が家では、赤ちゃんの頃はできるだけニュートラルな環境を心がけたいという想いから、アロマオイルはほとんど使いませんでした。
「なぜアロマオイルを使いたいのか?」「そもそも、赤ちゃんのいる環境でアロマを焚く必要があるのか?」その目的をいまいちど明確にしてみてください。もしかしたら、赤ちゃんのいる空間で使う必要はないのかもしれません。
3歳以上の子ども用アロマ:大人の1/10量を目安に
3歳以上の子どもは、アロマバスやアロママッサージなど、肌に触れる方法でのアロマオイル使用が可能です。しかし、子どもの身体は大人に比べて小さいため、アロマオイルの使用量は少なくし、様子を見ながら慎重に使うことを心がけましょう。
アロマオイルの使用量の目安は?
3歳以上の子どもに対するアロマオイルの使用量の目安としては、
大人の使用量の10分の1程度から始め、多くても大人の半分程度の量に
するのがポイントです。
さらに、使うアロマオイルの種類(刺激性や香りの強弱)や個々の健康状態、使用部位などによって調整しましょう。
大人との体重の違いを考慮するとわかりやすいです。例えば、大人の体重が50kgで、子供の体重が10kgであれば、大人の使用量の1/5を超えない量が目安となります。
子ども向けには、安全で刺激の少ないアロマオイルを
アロマオイル(精油)にはさまざまな種類がありますが、子どもには刺激や毒性の少ないものを選ぶことが重要です。乳幼児に刺激が強いアロマオイルも存在し、使用前によく調べることで安全に利用できます。
子どもへの使用に注意が必要なアロマオイル(精油)
特に、ケトン類という成分を多く含む精油や、メントール、シネオールといった芳香成分が多い精油は、子どもの使用に際して注意が必要です。
- ペパーミント
-
メントールのほか、ケトン類を含むため、乳幼児には刺激が強い。3歳以下の幼児には、芳香浴を含め完全に避けることが望ましいとされている。3歳以上の子供でも、鼻の近くに塗布するのは避けた方が無難。(咽頭の痙攣を起こすリスクや、ケトン類に神経毒性があるため)
- ユーカリ(グロブルスなど、シネオールが豊富なタイプ)
-
芳香浴は安全とされているが、呼吸器系への刺激が強いため、柑橘系やラベンダーなどの穏やかな香りをもつ精油と一緒に組み合わせるのがおすすめ。
- その他、ケトン類を含む精油
-
ケトン類には神経毒性があるため、乳幼児への使用は控えましょう。
- ローズマリー・カンファー
- ユーカリ・ディベス
- アルベンシスミント(ハッカ)
- アトラスシダー
- ヒマラヤスギ
- ラベンダーストエカス
- セージ
- ヒソップ など
- その他、刺激が強い精油
-
- シナモン(樹皮)
- スターアニス
- フェンネル など
参考文献:精油の安全性ガイド、NARD JAPANケモタイプ精油事典
子どもに比較的安全に使えるアロマオイル(精油)
モノテルペンアルコール類やエステル類という毒性の低い成分を多く含む精油は、正しく使えば子供にも安全です。
- 真正ラベンダー
- カモミール・ローマン
- ティートリー(ティーツリー、ティートゥリー)
- ローズウッド
- ホーウッド
- ユーカリ・ラディアタ
- ラヴィンツァラ
- マンダリン
- プチグレン など
ちなみに、赤ちゃんや小さな子供のケアには、精油よりマイルドなハーブウォーター(芳香蒸留水)を使うのもおすすめです。我が家でも娘が赤ちゃんの頃から大活躍です。おむつかぶれ・あせもなどの肌トラブルのほか、お風呂の入浴剤としても気軽に活用できます。
アロマバスでは皮膚刺激に十分注意
アロマバス(入浴中にアロマオイルを楽しむこと)も3歳から楽しむことができますが、次のことに注意を払いましょう。
- アロマオイルの使用量は、1〜2滴を目安にしてください。
- アロマオイルは水には溶けない親油性です。直接湯船のお湯に加えると、水面に浮くため肌に直接触れるリスクがあり、これが皮膚トラブルの原因となることがあります。
- 特に小さな子どもの肌は敏感です。アロマオイルを使用する際は、乳化剤や植物油で希釈してから湯船に入れることを推奨します。
また、以下の精油は皮膚や粘膜を刺激することがあるため、子ども用のアロマバスには避けた方が安心です。
- 柑橘系(オレンジ、マンダリン、ベルガモットなど)
- レモングラス
- リトセア
- ユーカリ
- ペパーミント
- スパイス系(シナモン、クローブなど)
- 針葉樹の精油(サイプレス、ヒノキ、ジュニパーなど)
アロマバスの注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。子どもと一緒に安全にアロマバスを楽しみたい方は、ぜひご参照ください。
正しい知識を身につけ、子供との暮らしにアロマを活用しよう
さて、今回は赤ちゃんや小さな子供にアロマオイル(精油)を利用する上で知っておきたいことをご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか?
最後に大切なポイントを簡単にまとめます。
- 2歳までは芳香浴だけに。赤ちゃんがいる空間ではほのかに
- 子供にアロマオイルを使う場合は、少なめの使用量で慎重に
- 刺激や毒性のあるアロマオイルは避ける
赤ちゃんや小さなこどもは大人に比べて抵抗力が弱く、アロマオイル(精油)の影響を受けやすいです。
このことを頭に入れて、小さな子供との暮らしや、子供のちょっとしたトラブルのケアに、アロマテラピーを安全・安心に取り入れていきましょう^^
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