こんにちは。ライター・アロマテラピーインストラクターの山本佐智世です。
温暖な瀬戸内海周辺は、柑橘類の産地。特に、しまなみ海道の大三島は「柑橘の島」といわれるほど、柑橘の栽培が盛んです。
そんな大三島で柑橘精油を作る「島香房(しまこうぼう)」に、蒸留体験ができる工房がオープン。早速、体験に行ってきました。
「柑橘の島」から香りを発信
2012年に関東から大三島へ移住した松田さんご夫婦が営む「島香房」。農家として島柑橘を栽培しながら、精油やフローラルウォーター(芳香蒸留水)を生産する、島のちいさな香り工房です。
除草剤不使用、無農薬・有機栽培で自ら育てた柑橘のみを使用。原料の栽培から蒸留、加工、パッケージングまで1つひとつすべて手作業で作られています。
「島レモン」、「島八朔」、「島いよかん」、「大三島ネーブル」など、柑橘の品種ごとの精油が充実。さらに、「青みかん」、「グリーンレモン」といった夏に採れる青い果皮を使った期間限定の精油も揃います。
島柑橘の蒸留体験がスタート
蒸留や加工、商品開発の拠点となる工房が今年5月にリニューアル。こちらで「島柑橘の蒸留体験講座」が受けられます。
春は柑橘の花(ネロリ)、夏は青みかん、柑橘の葉(プチグレン)、秋・冬は果実と、季節ごとに異なる部位を収穫して蒸留。フローラルウォーターの抽出が体験できます。
また、バスソルトやミツロウクリーム、ブレンドスプレーを作るアロマクラフトも可能。
「島柑橘の蒸留体験講座」(※少人数制・要予約)
http://www.shimakobo-omishima.com/shop/dealer/蒸留体験/
・「収穫&蒸留体験(1名4,000円)」所要時間:約1時間半〜2時間
・「アロマクラフト体験(+1,000円)」所要時間:約30分
工房内はいろんな柑橘がミックスされた、とてもさわやかな香りが印象的。
「青みかん」の蒸留を実際に体験!
工房に伺ったのは8月上旬、夏ということで「青みかん」果皮の蒸留に挑戦しました。
まずは果実を収穫すべく、島内に6ヵ所ある柑橘畑のなかから「青みかん」を栽培している山の上の畑へ。
おだやかな瀬戸内海が見渡せる絶景に感動! 島柑橘は瀬戸内の潮風を浴びながら育ちます。
「青みかん」の実を収穫します。
青くて小ぶりな夏のみかんは「摘果実(てきかみ)」と呼ばれ、酸味と渋味が混じったシャープな香り。「青みかん」と冬の完熟した「みかん」では、含まれる香気成分も異なります。
「青みかん」果実をたっぷり収穫。
工房に戻ったら、もくもくと作業。蒸留に使うのは柑橘の果皮だけなので、ひたすら皮をむいていきます。
果皮の油胞に芳香物質が詰まっているため、皮をむいている間もフレッシュな香りが漂います。キリリとした「青みかん」の香りに、何度も深呼吸してしまうほど。
下処理ができたら、果皮だけを蒸留釜へ入れて水を注ぎます。
蒸留器をセットし、熱して蒸留開始。
「島香房」の精油やフローラルウォーターは、銅製の蒸留器を使った水蒸気蒸留法で作られています。
しばらく待っていると、フローラルウォーターが続々とでてきます!
何度もビーカーを交換しながら、抽出の様子を見守ります。とれたての「青みかんウォーター」は、シャープさを感じるフレッシュでやさしい香り。
今回は約550mlの「青みかんウォーター」を抽出、精油はとれませんでした。レモンなど採油量の多い柑橘を使うと、精油も一緒に抽出できる場合があるそうです。
できあがったフローラルウォーターはボトルに詰めて持ち帰ることができます。そのまま化粧水としてはもちろん、ブレンドスプレー作りなどに使うのもオススメ。
柑橘だけでなく、日本薄荷やゼラニウム、ローズマリーといったハーブ類も栽培中で、今後はハーブ蒸留も検討中とのこと。
光毒性の心配がない「島香房」の柑橘精油
柑橘精油といえば、一般的に圧搾法で生産され「光毒性(日光に当たるとシミになるフロクマリンを含む)」に注意が必要です。しかし、「島香房」の精油はすべて水蒸気蒸留法で抽出されるため、フロクマリンを含まず、アロマトリートメントやスキンケアに安心して使えるという特徴があります。
きちんと成分分析され、分析表も添付されているので安心して使用できます。
水蒸気蒸留で熱を加えながら抽出された柑橘精油は、マイルドな香り。品種ごとに異なる柑橘の香りをかぎ比べるのも、おもしろいですよ。
精油、フローラルウォーター、ルームミスト、レモン石鹸など「島香房」のアイテムのほとんどは柑橘から作られます。このほか、大三島のハーブ農家から仕入れるローズマリーからとれる精油も人気。工房、ネットショップで購入できるほか、大三島や尾道に取り扱い店があります。
<「島香房」の商品が買えるのはこちら>
大三島/Limone(リモーネ)、オーガニックゲストハウス&カフェ OHANA in 御島、しまなみの駅 御島
尾道(広島県)/ONOMICHI U2
大三島の作家さんとコラボレーションしたアロマアイテムも。こちらは島のイノシシ皮で作った、柑橘モチーフのアロマオーナメント。レザーにアロマオイルを染み込ませて香りを楽しむ、ユニークなアイテムです。
おわりに
今、注目を集めている日本の和精油。しまなみ・大三島発の柑橘精油を手がける「島香房」は、そんな和精油を果実から手作りする工房です。地域に密着した香り、すてきですよね。
栽培から蒸留まで一貫して手がける、柑橘農家であり精油生産者。「島香房」だからこそできる体験講座は、少人数制でアットホームな雰囲気も魅力です。
四季折々の柑橘と出会える、島のちいさな工房へ。しまなみ観光とともに、柑橘蒸留体験はいかがですか?
「島香房」の情報
名称/シトラス&アロマ 島香房
住所/愛媛県今治市上浦町盛
TEL/0897-87-3345
営業/予約に応じてオープン(※要事前予約)
URL/http://www.shimakobo-omishima.com
※実店舗はなく、工房で買い物や蒸留体験が可能。いずれの場合も、メールor電話で要事前予約。予約時に工房の場所を案内してもらえます。