知りたいアロマテラピーのメカニズム。心と体に効く仕組みとは?

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こんにちは、アロマライフデザイナーの小田ゆき(@aroma_lifestyle)です。

植物の香りの力で、心と体をより良い状態に整えるアロマテラピー。

その効果が科学的にも証明されつつあり、最近では病気の予防においても注目されるようになってきました。

でも、そもそもアロマはどのようにして私たちの心身に働きかけ、力を発揮してくれるのでしょうか?

今回は、アロマテラピーのメカニズムについて詳しく解説したいと思います。

小田ゆき
「なぜ香りでリラックスできたり、不調改善に役立てることができるのか?」その仕組みや理由を知りたいという方はぜひ参考にしてください^^
目次

香り(精油)が心身に働きかけるルートは主に3つ

アロマテラピーで欠かせないのが、「精油」と呼ばれる植物から抽出した香りのエッセンスです。

ひとつの精油には数十から数百種類もの香りの成分が含まれています。

これが私たちの心や身体に働きかけ、気分をリラックスさせたり、体をより良い状態に整えてくれます。

では、この精油の香りがどのように伝わり、効果を発揮するのでしょうか?

それには主に以下の3つのルートがあります。

アロマテラピー メカニズム

  1. 鼻からのルート
  2. 呼吸器からのルート
  3. 皮膚からのルート

それぞれ、詳しく解説していきます。

ルート1:鼻から脳へ

まずひとつめは、「鼻(嗅覚)から脳へ」と伝わるルートです。これはアロマテラピーで精油の香りを嗅いだときのルートになります。

さっそく、香りが脳に到達するまでのプロセスを見てみましょう。

香りが脳に伝わる仕組み

香りは電気信号に置き換えられて、脳に伝わる

まず、香りを嗅ぐことによって、鼻から入った香り成分は、鼻の奥にある「嗅上皮(きゅうじょうひ)」という粘膜に付着します。

香り成分は嗅上皮にある嗅細胞で電気信号に変換され、嗅神経を通って「大脳辺縁系」という場所に伝わります。

大脳辺縁系は、私たちの本能に深く関わる部位で、喜怒哀楽の感情や欲求、記憶などをコントロールしています。

小田ゆき
そのため、香りを嗅いだだけでリラックスできたり、懐かしい思い出が蘇ってきたりすると考えられています^^

自律神経やホルモン分泌、免疫系の働きにも作用

さらに、大脳辺縁系に伝わった香りの情報は、「視床下部」というところにも伝わります。

視床下部は「脳の中の脳」とも言われる重要な部位で、自律神経やホルモン分泌、免疫の働きを調節する司令塔の役割を担っています。

このような仕組みで香りの情報が脳に働きかけることで、私たちの心や身体の機能にさまざまな作用をもたらします。

五感の中で「嗅覚」だけは特殊

ちなみに、人間の五感のうち、大脳辺縁系へストレートに伝わるのは嗅覚だけです。

視覚や聴覚の場合は、まず「大脳新皮質」という思考や言語など知的な活動を司る部位を経由して、大脳辺縁系に伝わります。(つまり、理性が先に働きます)

香りは脳の「考える」部分を通らず、「感じる」部分に一瞬で伝わる

例えば、ラベンダーの花を見たという状況を例にしましょう。

視覚の情報はまず「ラベンダーだ」という認識を経て、好きか嫌いかという感情に続きます。

しかし、嗅覚の情報は「いい香り」という感情がまずあって、そのあとに「ラベンダーの香り」と認識します。


つまり、いい香りを嗅ぐと、頭で考えずとも心理的にも身体的にも作用して、私たちの心や体をよりよい状態に整えてくれるというわけです。

香りは目に見えないものですが、すごいパワーを秘めていると思いませんか?

小田ゆき
五感の中でも嗅覚の刺激は脳へ伝わるスピードが最も早く、 その速度はなんと0.2秒以下と言われています。 (痛みなどの刺激は0.9秒ほど)
そのため、目で見たり、音を聴いたりするよりも、香りを嗅ぐ方がより速く脳に働き、気分を瞬時に切り替えて、心身に良い影響を与えてくれます。

ただし、ここで重要なのは、自分の好きな香りを使うということです。

なぜなら、一般的に良いといわれているものでも、苦手な香りでは逆にストレスになってしまい、心身への効果は期待できないからです。自分が心地いいと感じる香りを使うことがアロマテラピーでは大切なポイントです。

ルート2:呼吸器から全身へ

呼吸器から全身へ

2つ目は、「呼吸器から全身へ」と伝わるルートです。

呼吸器からも吸収される

呼吸とともに吸い込まれた香り成分は、ごくわずかですが鼻や喉の粘膜からも吸収され、血管へと入ります。

また、一部は気管を通って肺に入り、肺の一番奥にある「肺胞」という組織から血管へと入ります。

この血管に入った精油成分は、血液の流れにのって全身のさまざまな組織へと運ばれて効果を発揮します。

鼻や喉のトラブルにも効果を発揮

また、精油の成分は鼻や喉、気管といった呼吸器系に直接働きかけます

精油の中には喉の痛みや咳を和らげたり、ウイルス・細菌を抑える作用を持つものもあり、風邪やインフルエンザ、花粉症対策などにも役立てることができます。

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ルート3:皮膚から全身へ

アロママッサージ

3つ目は、「皮膚から全身へ」と伝わるルートです。

精油はアロママッサージなどによって皮膚から吸収され、身体に働きかけることもわかっています。

香り成分は肌に浸透して体内へ

本来、私たちの肌表面にはバリア機能が備わっていて、外からの物質が簡単に入らないようになっています。

ところが、精油成分は分子量が小さく、また、皮膚になじみやすい親油性の性質を持っているため、皮膚を通り抜けることができるのです。

皮膚に浸透した精油成分は、そこから毛細血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れにのって全身をかけ巡って、さまざまな組織に働きかけます。

実際に、ラベンダーの精油を使ってマッサージを行ったところ、5分後には血中から成分が検出されたというデータが報告されています。

Jager W, Buchbauer G, Jirovetz L, et al.
Percutaneous absorption of lavender oil from a massage oil.
J Soc Cosmet Chem. 1992;43(1):49-54.

そして、体内に入った香り成分は、最終的には肝臓で代謝され、腎臓を経由して体外へと排泄されます。

美肌効果をもたらしてくれる精油も

また、精油成分は皮膚そのものにも直接働きかけます。例えば、精油の中にはニキビを改善したり、コラーゲンの産生を促すといった効果が確認されているものもあり、美容面でも力を発揮してくれます。

このように精油は香りを嗅ぐだけでなく、肌に使うことでより多くの効果をもたらしてくれますが、ここでひとつ注意点があります。

精油を肌に使う場合は、原則として植物油などで薄めてから使いましょう。精油は植物の香り成分が高濃度に凝縮されたものなので、原液のままでは刺激が強すぎるからです。

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そして、大前提として精油はアロマテラピーに利用できる良質なものを使用してください。(100円ショップなどのアロマオイルは合成香料のため肌には使用できません)

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アロマテラピーの仕組みを知って、心も体も健やかに整えましょう

今回はアロマテラピーのメカニズムについてお話しましたが、いかがでしたでしょうか?

おさらいすると、精油が心身に作用するルートは主に以下の3つです。

  1. 鼻(嗅覚)から脳へ
  2. 呼吸器から血液を通じて全身へ
  3. 皮膚から血液、リンパにのって全身へ

このように精油はさまざまな経路で私たちの脳や身体に働きかけ、健康面や美容面でたくさんの効果をもたらしてくれます。

この仕組みを理解して、アロマテラピーをより安全、効果的に楽しんでいきましょう。

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この記事を書いた人

アロマとメディカルハーブのスペシャリスト。アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。メディア出演も多数。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。

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