虫除けや消臭・除菌、クールダウン、リフレッシュ…など多くの効果が期待できるハッカ油。手作りスプレーにしておけば、必要なときにシュシュっと手軽に使うことができとても便利です^^
そこで今回は、混ぜるだけでOK!なハッカ油スプレーの作り方をご紹介します。
材料の選び方や使い方のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
小田 ゆき
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト
アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。セミナー講師、コラム監修、メディア出演などで幅広く活動中。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。プライベートでは1児の母。詳細プロフィールはこちら
万能に使える!ハッカ油スプレーの魅力
ハッカ油とは、ミントの一種であるハッカ草(一般的には和種ハッカという品種)から採れる100%天然の香り成分です。
そのスーッとした爽快な香りは主成分の「メントール」によるもの。メントールは医薬品にも使われる薬効に優れた成分で、気分をリフレッシュさせる効果や、抗菌、防虫(害虫忌避)、鎮痛、冷感などの幅広い作用が期待できます。
そんなハッカ油を使ってスプレーを手作りしておけば、虫よけをはじめ、気になるニオイ対策や除菌、クールダウンなどに大活躍!
ハッカ油の清涼感あふれる香りで、夏の暮らしがスッキリ快適になりますよ✨
ハッカ油スプレー作りに必要なものは?
ハッカ油スプレーの作り方はとても簡単です。
まず、次の5つの材料を用意します。
それぞれ材料選びのポイントなど詳しくご紹介していきますね。
- ハッカ油
- 水
- 無水エタノール
- スプレー容器
- 計量カップ
ハッカ油
ハッカ草というミントから蒸留抽出された100%天然成分です。いくつかのメーカーから販売されていますが、スプレー作りには1滴ずつ出るドロッパー付きのものが扱いやすいです。ハッカ油は引火性があるので、キッチンなど火気に注意してください。
水
ハッカ油の香りをできるだけそのまま香らせるためには、純度の高い「精製水」が最適ですが、飲料水(軟水のミネラルウォーター)や水道水を使用しても問題ありません。
ドラッグストアやAmazonなどで1本(500ml)100円ちょっとで購入できます。
化粧水やボディローションなどの手作りコスメを作る場合には、精製水やミネラルウォーターを使いますが、ルームスプレーや空間の虫よけ用など、肌に触れない用途の場合は水道水でもOKです。
無水エタノール
ハッカ油は親油性成分のため、水にほとんど溶けないという性質があります。そこでハッカ油を水に混ざりやすくするために使うのが「無水エタノール」です。エタノールの揮発性により香り立ちもアップ。さらに、エタノールには防腐作用もあるため、スプレーを作る際に全体量の1割を目安に加えると保存性も高まります。
ドラッグストアやAmazonなどで購入できますが、入手できない場合は消毒用エタノールやアルコール度数の高いウォッカ(40度以上)でも代用できます。
エタノールには、主に無水エタノールと消毒用エタノールの2種類がありますが、アロマテラピーでは「無水エタノール」を使うのが一般的です。無水エタノールはアルコール度数が非常に高い(99.5%以上)ので精油を溶かすのに適していることと、香水作りの際などにアルコール濃度の計算がしやすいというメリットがあります。
注意:同じアルコールでも「燃料用アルコール」や「工業用アルコール」は人体に有毒なメタノールを含んでいるため、絶対に使わないでください。購入時は間違って購入しないように注意しましょう。
スプレー容器
ハッカ油やエタノールはプラスチックを劣化させる恐れがあるので、ガラス製が安心です。繰り返し洗って使えるので経済的です。プラスチック製を選ぶ場合には、アルコールの使用に対応したものを選ぶようにしましょう。
アロマ専門店やAmazon、楽天のほかに、最近では100円ショップでもアルコール可のプラ製ボトルを購入できます。
安価なプラスチックスプレーを使うと液漏れしたり、ボトルが白く変色したりすることも。とくにハッカ油はポリスチレン(PS)を溶かしてしまうのでNGです。プラ製を使う場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)もしくは高密度ポリエチレン(HDPE)素材がおすすめです🙆♀️
スプレー容器の選び方について、詳しくは以下の記事でご紹介しています。
事前に知っておきたい、ハッカ油の扱い方と注意点
ハッカ油は天然由来成分ですが、植物の香り成分が高濃度に凝縮されているため100%安全というわけではありません。基本的な扱い方のルールを守って、安全に楽しみましょう。
瓶を振らない
ハッカ油を滴下する際に、瓶を振るのはNGです。正しく計量できなかったり、ハッカ油の原液が肌に飛び散る危険性があるからです。中身を出す時は、ゆっくりと瓶を傾けてハッカ油が自然に落ちるのを待ちます。
残量が多いと勢いよく落ちてくるときもあるので注意してください。ハッカ油が出過ぎる場合には、空気穴をやや下向きにしてみましょう。逆にハッカ油が出てこないときには、空気穴を上にして瓶をゆっくり傾けます。
適量を守る
ハッカ油は「多ければ多いほど良い」というわけではありません。非常に濃度が高いため、適量を適切に使用することが重要です。過剰な使用は逆に肌や粘膜に刺激を与えたり、頭痛や吐き気などの副作用を引き起こす可能性があります。スプレーとして使用する場合、ハッカ油の濃度は全体量の1〜3%(例えば100mlのスプレー容器に対して、1〜3mlのハッカ油)を目安に、香りの好みやスプレーを使う目的に合わせて調整しましょう。
※ハッカ油1滴は通常0.05mlとして計算します。
推奨濃度
肌に使う場合(虫除け、デオドラントなど)
1%以下
※子供(4歳〜)や敏感肌は0.5%以下にします。3歳以下の子供にはハッカ油の使用は控えるようにしましょう。
部屋の芳香、布類・マスク用、掃除に
1〜3%
とくにハッカ油は香りが強いので、30mlのベース素材に1〜3滴でも十分です😊 とくに、敏感肌の方やアレルギー体質の方、鼻や喉の粘膜が弱い方は少量から(1滴〜)試し、様子をみながら使用してください。
赤ちゃん・妊娠中・高齢者・持病のある人は慎重に
ハッカ油は小さな子供には刺激が強いため、3歳以下の子供への使用は避けることをおすすめします。とくにハッカ油の香りを高濃度で嗅いだり、鼻の近くに付けないように注意してください。(呼吸に悪影響を及ぼす可能性があります)4歳以上の子供の場合も、通常の使用量の半分以下として様子を見ながら慎重にご使用ください。また、妊娠中や授乳中の方、お年寄りなど体の抵抗力が弱い方、持病のある方(とくにてんかんや心房細動のある方)はハッカ油の使用により皮膚や神経系に悪影響をおよぼす可能性があります。特定の健康状態や薬を服用している場合は、念の為医師に相談の上、ハッカ油をご使用ください。
ハッカ油の香りを少し嗅ぐ程度で大きな問題が起こることはほぼありませんが、特定の健康状態の方は強い香りの刺激は避けたほうが安心です。とくに皮膚塗布や経口摂取、高濃度使用は危険性が高まりますので注意してください。芳香用に使う場合も香りは控えめにし、不快感や異変を感じた場合は使用を中止してください。
目・傷口に使わない
ハッカ油は粘膜への刺激性があります。目や傷口などに成分が付くと強い刺激や痛みを感じるので、付着しないように注意しましょう。万一、目に入った場合は、大量の水で洗い流してください。
ペットはハッカ油が苦手
ハッカ油は植物の香り成分を濃縮したものです。そのため、猫やフェレットのような肉食性の強い動物は、ハッカ油に含まれる成分を分解できず、中毒症状を起こす危険性があります。猫のほか、香りに敏感な小鳥、子犬、カブトムシなどを飼っている方は、ペットがいない場所でハッカ油を使うようにしましょう。
ハッカ油スプレーを作ってみよう🌿
それではいよいよハッカ油スプレーの作り方をご紹介します。
基本のレシピ(50ml容器分、100ml作るときは倍の分量で)
<材料>
- ハッカ油 … 10滴(濃度:約1%)※肌が弱い人や子供には5滴以下に
- 無水エタノール … 5ml
- 精製水 … 45ml
<用具>
- スプレー容器
- ミニビーカー or ミニ計量カップ
作り方
[1] 清潔なスプレー容器に無水エタノールを5ml(小さじ1杯)入れる。
※無水エタノールは引火性があるため、火気の近くでの使用・保管は避けてください。
[2] ハッカ油を10滴加え、容器を軽く振って混ぜる。
[3] 水を45ml加える。(エタノールと水が混ざり合う反応熱により、やや温かく感じることもありますが問題ありません)
[4] 容器のふたをしめ、よく振って混ざったら完成。
YouTubeでも作り方をご紹介しています
使い方のアドバイス
- 使用の都度、容器をよく振って中身を混ぜてからスプレーしましょう。(ハッカ油が分離するため)
- ハッカ油が目に入ると強い刺激を感じるため、顔にはスプレーしないでください。
- ハッカ油やエタノールは引火性があります。キッチンやアウトドア時のBBQなど、火の近くで使用したり保管したりすることは避けてください。
- 家具や布にスプレーするとシミになることがあるため、事前に目立たないところで試してから使うのがおすすめです。
使用期限
冷暗所保存で2週間(水分が多いので傷みやすいです。早めに使い切りましょう)
【お悩み別】ハッカ油スプレーおすすめの使い方
●虫よけに 〜蚊やダニ、ゴキブリ退治に〜
ハッカ油は虫が嫌がる香りといわれていて、虫よけスプレーとしても効果を発揮してくれます。
香りがしなくなったら虫よけ効果が弱まるため、こまめにスプレー(30分〜1時間おきに)するのがおすすめです。
●マスクに
ハッカ油スプレーをマスクに1プッシュすれば、爽やかな香りで呼吸もラクになります。
ただし、香りの刺激でむせてしまったり、目を刺激することがあるため、スプレーした後に少しパタパタと振って香りを飛ばしてから使うのがおすすめです。
●ニオイや雑菌が気になる場所に
ハッカ油には消臭作用や雑菌の繁殖を防ぐ働きがあるため、ゴミ箱や排水溝、シューズボックス、生乾きの洗濯物などに数プッシュ吹きかければ、嫌なニオイを抑えてくれます。ダイニングテーブルや布巾、まな板の除菌にも使えます。
●暑さ対策や制汗・デオドラントに
首筋や腕、ワキにシュッとスプレーすると、ひんやりとした冷感が。おしぼりにスプレーして肌にあてても気持ちいいですよ。寝る前に枕にかけると、夏の寝苦しさも軽減します。
(就寝前に強い香りを嗅ぐと逆に快眠を妨げるため、ほのかに香る程度に)
ハッカ油は涼感をもたらしてくれますが、実際の体温が下がるわけではないので、水分補給や体を冷やすといった基本的な熱中症対策も忘れないようにしてくださいね😊
ハッカ油スプレー作りのよくある質問
無水エタノールがない場合、消毒用エタノールでも代用できますか?
消毒用エタノールでも代用できますが、アルコールの濃度計算がしにくい(アルコール度数ほぼ100%の無水エタノールに対し、消毒用エタノールは80%前後)ことと、無水エタノールに比べてやや消毒臭が気になる(とくに「IP」と書かれているタイプ)ため、香水やルームスプレーづくりなど、香りを重視したクラフトには無水エタノールを使うことをおすすめします。お部屋の虫除けや掃除用には消毒用エタノールでもOKです。
ハッカ油を水に薄めるだけではダメですか?
水だけでも作れますが、ハッカ油の原液が肌を刺激することがあるため、肌に使う場合はエタノール(もしくは乳化剤)を使うことを強く推奨します。エタノールは防腐作用や揮発性があるため、スプレーの保存性や香りの拡散を高める役割もあります。そのため、水だけで作る場合は、保存性や使用感が劣るため、空間の虫よけや消臭、掃除用など“肌に触れない用途”で、かつ短期間(1〜2日)で使い切ることを心がけていただきたいと思います。
<水だけで作るハッカ油スプレーのレシピ>
無水エタノールの分量を水に置き換えて作ってください。(例:50mlの水にハッカ油10滴)
ハッカ油と水は分離してしまうため、使用する前によく振ってスプレーします。
※冷蔵庫などの涼しい場所に保管し、できればその日のうちに使い切るようにしましょう。
ハッカ油スプレーを顔に使用しても大丈夫ですか?
ハッカ油が目に入ると強い刺激を感じるため、顔は避けた方が安心です。顔周りの虫よけには、帽子や首にまくタオルにスプレーするとよいですよ。化粧水として使いたい場合は、全量50mlに対してハッカ油1滴とするなど使用量を控えめにし、目や粘膜への使用は避けてください。
赤ちゃんにハッカ油スプレーを使用してもよいですか?
ハッカ油は天然由来成分ですが、製造過程で自然界にあるときよりも成分が高濃度に濃縮されているため100%安全ではありません。とくに主成分のメントールは、乳幼児の呼吸に悪影響を及ぼしたり、直接吸入で喉の痙攣を起こす危険性があり、ハッカ油の香りを高濃度で吸入したり、鼻に塗ることは禁忌とされています。メントール以外にも乳幼児に注意が必要な成分を含有しますので、リスク回避のために、3歳以下の乳幼児にはハッカ油スプレーの使用は避けた方が安心です。天然アロマでの虫よけにこだわる方にはレモンユーカリの芳香蒸留水などがおすすめです。
おわりに
今回はハッカ油スプレーのレシピをご紹介しました。少ない材料で簡単に作れるので、ぜひチャレンジしてみてください。
ハッカ油のパワーを上手に利用して、夏の不快感を吹き飛ばしましょう!
ハッカ油の爽やかな香りで夏の疲れも癒されますよ♪初めて使う方は、少量から試してみてくださいね。
※この記事は2017年7月9日に公開した記事を再編集したものです。
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