古代ローマから愛され続けてきた爽やかな香りのハーブ、ローズマリー。その精油には、心身をリフレッシュする素晴らしい効能があり、記憶力向上やストレス解消など、現代人の悩みをサポートしてくれます。
本記事では、ローズマリー精油の効能や効果的な使い方について、アロマテラピーの専門家の知見をもとに詳しく解説します。初めての方でも安心して使えるよう、具体的な活用法から禁忌などの注意点まで、すべての情報をこの1つの記事にまとめました。
小田 ゆき
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト
アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。セミナー講師、コラム監修、メディア出演などで幅広く活動中。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。プライベートでは1児の母。詳細プロフィールはこちら
ローズマリー精油とは?
ローズマリー精油は、シソ科の常緑低木であるローズマリー(Rosmarinus officinalis)の葉から水蒸気蒸留法で抽出される、爽やかな香りが特徴の精油です。ハーブ特有の清々しい草木の香りに、スッキリとしたカンファー調の香りが加わり、心をリフレッシュさせ、集中力を高める効果が期待されています。
ローズマリー精油のケモタイプについて
ローズマリー精油には、産地や気候によって化学成分が異なる「ケモタイプ」があり、大きく以下の3つのタイプに分けられます。
- シネオールタイプ(ローズマリー・シネオール)
シネオール成分を多く含み、呼吸器ケアに適しているため、スッキリとした清涼感が特徴です。特に、風邪・インフルエンザの予防や集中力強化に役立ちます。 - カンファータイプ(ローズマリー・カンファー)
カンファー成分が多く含まれ、筋肉のケアに適しているタイプです。スポーツ後のリフレッシュや筋肉疲労の緩和を目的に、主に皮膚塗布で使用されます。ローズマリー精油の中では禁忌が多いため、使用には注意が必要です。 - ベルベノンタイプ(ローズマリー・ベルベノン)
ベルベノン成分を含み、特にスキンケアやデトックスに適しているタイプです。
このように、ローズマリー精油は成分によって異なるケモタイプがあり、それぞれに特徴的な作用と適した用途があります。目的に合ったローズマリー精油を選ぶことで、日常のセルフケアやアロマテラピーの効果を最大限に引き出すことができます。
原料植物について
ローズマリーの特徴
ローズマリーは(学名:Rosmarinus officinalis)、地中海沿岸を原産とするシソ科の常緑低木で、高さは1〜2メートルほどに成長します。細長く針状の葉からは強い芳香が漂い、春から夏にかけて淡紫色の小さな花を咲かせるため、ハーブガーデンにも人気です。
「ローズマリー」という名前は、ラテン語の「ros marinus(海のしずく)」に由来しています。これは、海辺に生育することが多いローズマリーの姿が、まるで海のしずくのように見えることから名づけられたとされています。
ローズマリーの歴史・エピソード
「記憶」と「誠実」の象徴
ローズマリーは、古代ギリシャ・ローマ時代から「記憶力を高めるハーブ」として大切にされてきました。試験前に学生たちがローズマリーの冠をかぶり勉強したという逸話も残っており、集中力向上や頭脳明晰が期待できるハーブとして知られています。
また、中世ヨーロッパでは、ローズマリーは結婚式で愛と誠実の象徴としても使用されており、花嫁が「何かブルーのもの」として身につけることがありました。現在では、ブーケや装飾の一部に取り入れられることがあり、ローズマリーが持つ「記憶を宿すハーブ」としての意味合いから、特別な日の思い出を象徴する植物として愛されています。
さらに、ローズマリーは葬儀の場でも「記憶」と「追憶」の象徴として使われることがあります。故人を偲び、忘れないという思いを込めて、棺の上や追悼の場に置かれることがあり、愛する人への記憶を大切にするための植物としての役割を果たしています。また、ローズマリーの清々しい香りは、参列者に癒しと安らぎをもたらし、心を落ち着かせる効果も期待されています。
ローズマリーの精油データ
精油名 | ローズマリー |
学名 | Rosmarinus officinalis |
科名 | シソ科 |
主な産地 | スペイン、チュニジア、フランス、モロッコ |
主な抽出部位 | 葉 |
主な抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
揮発度 | ミドルノート |
香りの強さ | 中 |
主な芳香成分 | カンファー、1,8-シネオール、α-ピネン、カンフェン、γ-テルピネン、ボルネオール、ベルベノン、d-リモネン、酢酸ボルニル |
主な作用 | 抗菌、抗真菌、抗ウイルス、血行促進、神経強壮、抗炎症、鎮痛、集中力・記憶力向上 |
ローズマリー精油の主な効果・効能
効能① 記憶力・集中力向上
ローズマリー精油の最も注目される効能の一つが、記憶力と集中力の向上です。研究によれば、ローズマリー精油の香りを嗅ぐことで脳の血流が増加し、認知機能が向上する可能性があると示されています。日本でも数年前に、ローズマリー精油に認知症予防効果が期待できるとして話題になりました。勉強や仕事の前に香りを取り入れることで、集中力アップのサポートとなるでしょう。
効能② リフレッシュ効果
ローズマリー精油の爽やかな香りには、自律神経系のバランスを整える作用があります。特に交感神経を適度に刺激し、心をリフレッシュさせると同時に、穏やかな安らぎをもたらします。精油に含まれるカンファーやボルネオールといった成分が、ストレスを和らげ、気分を前向きにしてくれると考えられています。疲れを感じた時や気分を切り替えたい時に使用することで、心身ともにリフレッシュしやすくなるでしょう。
効能③ 血行促進・筋肉疲労の緩和
ローズマリー精油には、血行を促進し、筋肉の疲労を和らげる効果が期待できます。マッサージオイルとして使用することで、運動後の疲労回復や肩こり・腰痛の緩和に役立ちます。また、冷えの改善に役立つため、冬場の冷え性対策にも効果的です。
カンファータイプのローズマリー精油には、筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和する作用があるとされています。我が家では、スポーツ後の筋肉痛の緩和に重宝しています。冷えが気になる時には、温浴と併用することで、より効果的にケアできますよ。手作りのバスソルトなどで活用するのがおすすめです🌿
効能④ 抗菌・抗ウイルス作用
ローズマリー精油には、抗菌・抗ウイルス作用があり、空間の清浄化や感染予防に役立ちます。中世ヨーロッパでは、疫病が流行した際にローズマリーやタイムなどのハーブを焚き、空気を清める「燻蒸」が行われました。こうした伝統的な方法は、ハーブの浄化作用に期待したもので、現代でも感染症対策としてローズマリー精油が活用されています。風邪・インフルエンザなどの感染症予防や日常の衛生管理に役立つ、頼りになる存在です。
効能⑤ 抗酸化作用によるエイジングケア
ローズマリー精油には抗酸化作用があり、肌を若々しく保つサポートが期待されています。特にベルベノンタイプのローズマリー精油は、スキンケアに適しており、肌を整えハリを保つ助けとなります。ローズマリーの香りを取り入れることで、リフレッシュ効果とともに肌の健康をサポートし、エイジングケアにも役立つとされています。
ローズマリー精油の使い方&活用レシピ
吸入 〜集中力アップや鼻・喉のトラブルに〜
精油の香りを積極的に吸い込む吸入法は、脳に素早く刺激が届くため気分転換や集中力アップに最適です。また、鼻や喉に効果的に香りの成分を作用させることができるため、風邪の引き始めや花粉症のケアにも役立ちます。折りたたんだティッシュにローズマリー精油(シネオールタイプが理想的)を1〜2滴垂らし、鼻に近づけて香りを楽しみましょう。勉強や仕事中にデスクの上に置くのもおすすめです。デスクの上に置く際は、精油が家具に触れないように小皿などを下に置くと安心です。
マッサージオイル 〜筋肉痛・肩こりに〜
運動後の筋肉疲労、肩こり、腰痛を感じるときには、ローズマリー精油を使ったトリートメントオイルでのケアがおすすめです。カンファータイプのローズマリー精油を使用すると、筋肉を緩め、血行を促進する効果が期待できます。
植物油(ホホバオイルやスイートアーモンドオイルなど)10mlに対し、ローズマリー精油を1〜2滴加えてよく混ぜます。疲れを感じる部分に塗布し、優しくマッサージしましょう。筋肉の緊張を和らげ、リフレッシュするのに最適です。入浴後など、身体が温まっているタイミングで使うと、より効果を実感しやすくなります。
ローズマリーのカンファータイプはやや刺激的なため、香りや作用が気になる方は、ラベンダー精油と1:1でブレンドすると穏やかになり、初心者の方にも使いやすくなります。
アロマスプレー 〜リフレッシュと清潔感を手軽に〜
ローズマリー精油を使ったアロマスプレーは、空間を爽やかにし、リフレッシュ効果をもたらします。また、抗菌作用も期待できるため、デスク周りや布製品にスプレーすることで清潔感を保つサポートにもなります。
必要なもの
・無水エタノール … 5ml
・精油 … 10滴
・水 … 45ml
・50mlスプレー容器
作り方
1. スプレー容器に無水エタノールを入れ、精油を加え容器を軽く振って混ぜる。
2. 水を加え、蓋をしめてよく振って混ぜ合わせたら完成。※使用期限は冷暗所保管で約2週間
ポイント
精油と水は分離してしまうので、使用の都度スプレーを振ってよく混ぜてから使いましょう。
\おすすめブレンドレシピ/
- ローズマリー … 3滴
- ラベンダー … 3滴
- オレンジスイート … 4滴
ゆったりとリラックスしながらも心が落ち着き、穏やかなリフレッシュ感を得たいときにおすすめです。
相性の良い他の精油との組み合わせ
ローズマリーと相性の良い精油
ローズマリー精油はクリアでハーバルな香りが特徴で、活力を与えつつ、集中力を高めるブレンドに適しています。とくに柑橘系やハーブ系、樹木系の精油とよく調和し、心地よいリフレッシュ感をもたらします。
ローズマリー精油の注意点・禁忌事項
ローズマリー精油は多くの効果が期待できる一方で、使用方法に注意が必要です。以下の注意事項を守り、安全にご活用ください。
妊娠中・授乳中の使用
妊娠中の方には、ローズマリー精油の使用を避けてください。特に、カンファータイプには子宮収縮のリスクがあるため、妊娠中の精油使用については、医師や専門家に相談してください。また、母乳を通じて赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、授乳中の使用も避けることが推奨されています。
てんかんの既往歴がある方
ローズマリー精油に含まれるカンファーという成分には、中枢神経を刺激する作用があります。そのため、てんかんの既往歴がある方は、発作を誘発するリスクを避けるため使用を控えるようにしましょう。
高血圧の方
ローズマリー精油は血行を促進し、交感神経を刺激する作用があるため、高血圧の方には使用を控えるよう推奨されています。使用前に医師へ相談することをおすすめします。
小さな子供やペットへの使用
ローズマリー精油は刺激が強く、小さなお子様やペットに使用する場合には特に注意が必要です。6歳未満の子どもへの使用は避け、7歳以上の子供やペットの周りで使用する場合も、低濃度での拡散や使用量を少なくするなど、慎重に使用しましょう。
上記の注意点に加え、「高品質な精油を使う」「皮膚に使う際は必ず希釈する」など基本的なルールを守り、精油を正しく活用しましょう。
まとめ
ローズマリー精油は、記憶力や集中力の向上、リフレッシュ効果、筋肉ケア、そして抗菌・抗ウイルス効果など、多様な効能を持つ魅力的な精油です。古くから健康や暮らしを支えるハーブとして親しまれてきた歴史もあり、その香りは現代でも幅広い用途で利用されています。
初心者でも取り入れやすい吸入法やアロマスプレーから、トリートメントオイルなどの応用的な使い方まで、目的に応じて活用することで、日常生活の質を高め、心身の健康に役立てることができます。ただし、使用にあたっては禁忌や注意事項を守り、安全に楽しむことが大切です。
ローズマリー精油の特性を知り、適切な使い方で心地よいアロマライフをお楽しみください。
おすすめのアロマオイルブランドをご紹介
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