透明感ある柑橘の香りが人気の「ベルガモット」。その精油(アロマオイル)には、リラックス効果や気分を高める効果が期待でき、心のケアに強い味方となってくれます。
今回は、ベルガモット精油の魅力や主な効能、おすすめの使い方をご紹介します。

小田 ゆき
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト
アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。セミナー講師、コラム監修、メディア出演などで幅広く活動中。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。プライベートでは1児の母。詳細プロフィールはこちら
そもそも「ベルガモット」ってどんな植物?
紅茶アールグレイにも使われる“香り高い柑橘”

ベルガモットはイタリアを主産地とする柑橘の一種です。その名前の由来は諸説ありますが、イタリア北部の小都市ベルガモで最初に栽培されたことからと言われています。
苦味が強いため果肉や果汁を食用に利用することはほとんどありませんが、皮から抽出される精油(エッセンシャルオイル)が紅茶のアールグレイの香りづけをはじめ、香水、化粧品の香料として使われています。
中世ヨーロッパでは貴族や富裕層の間でベルガモットが人気のある香料となり、ナポレオンやゲーテも愛用したという世界最古の香水「ケルンの水」のベースにもなっています。
ベルガモット精油はどんな香り?
柑橘とフローラルが混じった繊細な香り

アロマテラピーでも人気のベルガモット精油(アロマオイル)は、香り高いベルガモットの果皮を圧搾して抽出されます。
他の柑橘精油とは異なり、ベルガモット精油は酢酸リナリルやリナロールなど、ラベンダー精油と共通する芳香成分を多く含有しているのが特徴です。
そのため、柑橘系のフレッシュさにフローラルな印象、さらにビターな雰囲気も感じられ、男女問わず好まれる上品な香りです。
ベルガモットの精油データ
学名 | Citrus bergamia, Citrus aurantium ssp. bergamia |
科名 | ミカン科 |
主な抽出部位 | 果皮 |
主な抽出方法 | 圧搾法 |
主な芳香成分 | リモネン、酢酸リナリル、リナロール、ベルガプテン |
揮発度 | トップ〜ミドルノート |
香りの強さ | 弱〜中 |
主な産地 | イタリア、コートジボワール |
ベルガモット精油の主な効果・効能
ベルガモット精油はその香りの好ましさに加えて、優れた鎮静作用をもつことから、とくにメンタル面での落ち込み・ストレスといった「心のケア」に役立ちます。ここからはベルガモット精油に期待できる主な効果・効能を解説します。
ストレス・精神疲労を和らげる
他の柑橘系の精油と異なり、ベルガモット精油にはラベンダー精油の主要成分でもある「酢酸リナリル」や「リナロール」といった鎮静作用のある成分を多く含むことから、神経系をリラックスさせることが得意な精油です。
ベルガモットの芳香浴(空気中に香りを拡散して香りを楽しむ方法)により、自律神経が整い、不安や精神的疲労が軽減するという実験結果1)や、ストレスを受けた時に増えるコルチゾールというホルモン濃度が下がり、免疫力がアップすることが研究2)で確認されており、心身のバランス回復に力を発揮してくれます。
1)渡邉 映理, 他(2013) ベルガモット精油による芳香浴の自律神経系および情動に及ぼす効果. Aroma research = アロマリサーチ : journal of aroma science technology and safety 14(2):150-154.
2)枝 伸彦, 他,(2019) エッセンシャルオイルによる香り刺激が口腔内免疫能に及ぼす影響についての生理心理学的研究. アロマテラピー学雑誌 20(3):28-37.
うつ症状の緩和
ベルガモット精油は「天然の抗うつ剤」とも言われ、季節性感情障害(SAD)の患者に使用することで、太陽光を浴びたときのような抗うつ効果を与えることが研究でわかっています。心を鎮静させながらも高揚させる働きがあるため、落ち込んだ心を癒し、明るく前向きな気持ちに導いてくれます。
安眠を促す
ベルガモット精油には誘眠作用があるとされ、その心地よい香りが神経の緊張をゆるめ、深い眠りに導いてくれます。とくに、考え事や心配事で眠れないときには、芳香浴やアロマバスで使うのがおすすめです。
ストレスによる胃腸のトラブルに
ベルガモット精油は、自律神経との関わりが深い胃腸や消化の働きをサポートしてくれます。とくにストレスによる便秘や下痢、食欲不振などの胃腸のトラブルに役立ちます。植物油(ホホバオイルなど)に薄めてトリートメントオイルをつくり、お腹をやさしくマッサージするのがおすすめです。
その他期待できる働き
- 抗ウイルス、抗菌作用(感染予防、ヘルペス、帯状疱疹、膀胱炎などに)
- デオドラント
- 脂性肌・ニキビのケア
- 鎮痙作用(生理痛などに)
ベルガモット精油の注意事項・禁忌
さまざまな効果が期待できるベルガモット精油ですが、安全に楽しむために以下の点に注意しましょう。
光毒性に注意する
ベルガモット精油には光毒性といって、皮膚に塗った状態で紫外線にあたるとシミや炎症を引き起こす成分が含まれているので、日中に顔やボディに使うのには向きません。肌への使用後は紫外線(日光や日焼けサロン)を12〜18時間は避けるか、光毒性の原因成分(フロクマリン類)を除去してある「フロクマリンフリー(FCF)」の精油を使うのが安心です。
皮膚刺激に注意する
ベルガモット精油の主成分であるテルペン類は希釈濃度や使用量によっては皮膚刺激を感じることがあります。アロマバスやマッサージなど肌に触れる用途に使う場合、敏感肌や高齢者の方は通常よりも低濃度から始めるなど、様子を見ながら使用しましょう。
ベルガモット精油の使い方&活用レシピ
嗅ぐ(芳香浴)〜不安や緊張をリセット〜

不安や緊張を感じるときは、ティッシュもしくはハンカチにベルガモット精油を1、2滴垂らし、鼻に近づけて香りを楽しみましょう。呼吸が深まり、気持ちが落ち着いてきます。寝る前に枕元に置いたり、ポケットやカバンに入れてお守りのように持ち歩くのもおすすめです。
※精油を垂らした部分が直接肌や家具に触れないように注意しましょう。

私にとってベルガモット精油は「心のお守り」です。疲れすぎて眠れない時にベルガモット精油を1滴垂らしたティッシュを枕元に置いて寝ると、心地よい香りに包まれて寝つきがよくなりますし、翌朝の起きたときの感覚が違います。
アロマバス 〜疲れ切った心と体を癒す〜


誘眠作用のあるベルガモット精油は、バスオイルやバスソルトにしてお風呂に使うのも効果的。1日の疲れもほぐれて、ぐっすり眠ることができます。フランキンセンス、ゼラニウム、イランイランとブレンドするのもおすすめです。
※アロマオイル(精油)は必ず植物油や乳化剤で希釈してからお風呂に入れましょう。
アロマスプレー 〜気分転換や持ち運びに〜


アロマスプレーを手作りしておけば、いつでも必要なときに手軽にベルガモットの香りを楽しめます。持ち運びもできるので、外出先や職場でのリフレッシュにもぴったり。ストレス解消にはプチグレンやフランキンセンスと組み合わせたり、デオドラント用にラベンダーやペパーミントとブレンドして夏場のボディミストに使うのもおすすめです。その場合、光毒性の原因成分を除去したFCFタイプの精油を使うと安心です。
- スプレー容器に無水エタノール5mlを入れる。
- ベルガモット精油6滴を加えて、軽くボトルをゆすって混ぜる。
- 水を25ml入れて蓋をしめてよく振ったら完成。 ※使用期限は冷暗所保管で1週間。
アロマスプレーの詳しい作り方は以下記事をご参照ください。


ベルガモット精油のブレンドアドバイス
どんな精油とも相性がよく、柑橘・フローラル・ハーバル・レジンなど幅広い精油と調和します。香水づくりやボディケアには光毒性の原因成分を除去したFCFタイプが使いやすいですが、通常の精油に比べると芳香がやや軽い印象になります。用途に合わせて選んでみましょう。揮発が速いトップノートに分類されるため、ある程度香りを持続させたいときは花や樹脂、木などのミドルノートやベースノートの精油とブレンドするとよいでしょう。
ベルガモット精油と相性の良い精油
柑橘系、レモングラス、ラベンダー、ゼラニウム、クラリセージ、ネロリ、プチグレン、バジル など


ベルガモットの香りを味方につけて、忙しい日々に癒しを
ベルガモット精油は特に精神面への作用に優れ、不安や緊張、気分の落ち込みなど心のケアに大きな助けとなってくれる1本です。
万人に好まれる柑橘の香りは初心者さんにもおすすめ。日頃の疲れのリセットに、心地よいベルガモットのアロマを取り入れてみてはいかがでしょうか。



ベルガモット精油は私もお気に入りの香りのひとつ。アロマバスや就寝時に使うことも多いです。疲れている時にベルガモットの香りを嗅ぐと、頭の緊張がほぐれて、体もすっと軽くラクになります♪
小田ゆきのレッスン情報 リアルイベント受付中 〜2023.10.7(日)『
国内最大級のアロマとハーブとセラピーイベント。特別セミナーに登壇します。
テーマは「植物の力をもっと身近に。私も家族も笑顔にするアロマ&ハーブ「5つの習慣」
植物療法を日常に無理なく取り入れる方法を知りたい。そんな方はぜひご参加ください😊
小田ゆきと直接会話できる貴重なリアルイベントです! お申込みはこちら→★
ビギナーさん向け、暮らしに役立つアロマ入門講座を好評開講中♪
- いつもの◯◯にプラスするだけの活用法
- 森のリードディフューザーづくり
- 肌も心も整う、保湿アロマバームづくり
などなど、知っておきたいアロマの基本から、日常生活に役立つ活用レシピを全6回で学べるレッスンです。
ほか、著名な先生による1,500以上の講座が受講し放題! 詳細はこちら→★
その他、最新のレッスン情報はInstagram(@aroma_lifestyle)などでお知らせします🌼
おすすめのアロマオイルブランドをご紹介
アロマテラピーを安全・効果的に楽しむためには、使用する精油(アロマオイル)の品質がとても重要です。以下記事では初心者さんにおすすめのアロマオイルブランドをご紹介しています。購入時のひとつの参考にしてください。

