【イランイラン精油】の効能とは？効果・使い方・注意事項を解説｜アロマ辞典

甘く官能的な香りで心を癒し、ストレス社会を生きる現代人の心身の調和をサポートするイランイラン精油。古来より「花の中の花」と称えられ、高級香水の原料としても愛されてきたこの精油は、リラックス効果から美容効果まで、女性の魅力を引き出す素晴らしい精油です。

本記事では、イランイラン精油の効能や効果的な使い方について、アロマテラピーの専門家の知見をもとに詳しく解説します。初めての方でも安心して使えるよう、具体的な活用法から禁忌などの注意点まで、すべての情報をこの1つの記事にまとめました。

イランイラン精油とは？

イランイランは、東南アジア原産のイランイランノキ（学名：Cananga odorata）の花から抽出される香り豊かな精油です。その甘く官能的な香りは、世界的に有名な香水「シャネルNo.5」にも使用されており、香りの世界では欠かせない存在となっています。

香りの特徴

イランイラン精油の香りは、ジャスミンと共通する成分を含み、南国を感じさせる温かみのある濃厚な花の香りが特徴です。個性的で好き嫌いが分かれる香りですが、心地よいと感じる方にとっては、心身に素晴らしい効果が期待できます。

精油のグレードについて

イランイラン精油は、花から水蒸気蒸留法によって抽出され、エクストラ、ファースト、セカンド、サードと4つのグレードに分類されます。全グレードを混合したコンプリートは、複数の香り成分がバランスよく含まれているため、イランイラン精油の中では一番使いやすいタイプです（一般的に販売されているものの多くはコンプリートです）。このようなグレード分けにより、香りの濃度や用途が異なるため、好みや使用シーンに応じて選ぶことができます。

原料植物について

イランイランの特徴

「花の中の花」という意味をもつ熱帯植物

イランイランノキは、フィリピンやインドネシアなど東南アジアを原産とする樹木で、高さ10〜20mほどに成長する高木です。垂れ下がったような美しい黄色の花を咲かせ、ジャスミンに似た濃厚な香りを放つことから、フィリピンの言葉（タガログ語）で「花の中の花」とも称されています。現在はマダガスカルやコモロ諸島などの熱帯地域で広く栽培され、香料として利用されています。

イランイランの歴史・エピソード

愛やロマンスを象徴する香り

イランイランの香りは、古くから魅惑的でロマンティックな香りとして知られ、インドネシアでは新婚夫婦のベッドにイランイランの花びらをまく風習があります。また、シャネルNo.5などの名香にも使用されることで有名で、その華やかで魅力的な香りは多くの人々に愛され続けています。

イランイランの精油データ

精油名	イランイラン
学名	Cananga odorata
科名	バンレイシ科
主な産地	コモロ、マダガスカル、レユニオン島（フランス領）
主な抽出部位	花
主な抽出方法	水蒸気蒸留法
揮発度	ミドルノート
香りの強さ	中〜強
主な芳香成分	リナロール、ゲラニオール、酢酸ベンジル、安息香酸メチル
主な作用	抗うつ、鎮静、高揚、催淫、誘眠、鎮痙、鎮痛、抗炎症、血圧降下、皮脂調整

イランイラン精油の主な効果・効能

イランイランの甘いフローラル調の香りは、精神的な不調から身体的なトラブルまで、幅広いお悩みに助けになってくれます。

効能① ストレス緩和・睡眠の質改善

イランイラン精油の甘く官能的な香りは、心身を深くリラックスさせ、ストレスや不安を和らげる効果があります。特に、気分が落ち込みやすいときや憂うつ感が続く場合にも、その香りが気持ちを前向きにし、心を穏やかに保つサポートをしてくれます。

さらに、イランイラン精油は、自律神経を整える働きも期待でき、過剰に緊張している状態から心身を解放し、リラクゼーションを深めます。自律神経のバランスが崩れがちな現代人にとって、安眠やリラックス効果をもたらすサポートとしてもおすすめです。寝る前にディフューザーやアロマスプレーで香りを楽しむことで、よりリラックスした眠りへ導いてくれます。

効能② 催淫作用

イランイランは、古くから「媚薬」としても知られ、官能的な香りが心身をリラックスさせ、愛情やロマンティックな感情を高めるとされています。そのため、パートナーとの特別な時間に使用することで、二人の絆を深めるサポートとしても役立つと言われています。

効能③ 女性ホルモンの分泌調整

イランイラン精油には、女性ホルモンの分泌を促進する効果もあるとされています。ホルモンバランスをサポートすることで、PMS（月経前症候群）や更年期の不快症状を緩和し、女性特有の体調の変動を助けるために活用されています。また、女性らしさや魅力を高める香りとしても親しまれています。

効能④ ストレス性の動悸・不整脈・高血圧の改善

イランイランの香りは、緊張やストレスが原因となる動悸や高血圧、不整脈の改善に役立ちます。リラックス効果を通じて自律神経を整え、血圧を適度にコントロールし、心臓のリズムを安定させるサポートを行います。この作用により、心身のバランスを保ちながら健康の促進が期待できます。さらに、イランイラン精油の吸入によって収縮期血圧の低下が認められた研究報告^※もあり、リラクゼーションだけでなく、実際の血圧管理にも有用性が示されています。

※（公社） 日本アロマ環境協会 | アロマ研究室 | No.13 イランイラン精油の芳香浴による動脈機能改善の可能性

効能⑤ 肌と髪を健やかに保つ

イランイラン精油には、皮脂の分泌を調整する作用があり、脂性肌と乾燥肌の両方のスキンケアに効果的です。また、頭皮や髪などのヘアケアにも役立つため、ホホバオイルなどの植物油に混ぜてヘアオイルとして活用するのもおすすめです。

イランイラン精油の使い方＆活用レシピ

ほっこり幸せな気分になれる芳香浴

気分が落ち込んでしまったときや、ストレスを感じるときにアロマディフューザーやアロマランプなどでお部屋に香りを広げてみましょう。イランイランの温かみのある香りは、ネガティブな感情を抑え、幸福感をもたらしてくれます。

ぐっすり眠れるピロースプレー

眠りを誘ってくれるイランイランは寝室にもぴったり。スプレーにして枕元に使えば、ほのかな香りに包まれて寝つきもよくなります。

女子力アップのナチュラルフレグランス

有名フレグランスにも使われているイランイラン。ロールオンにしておけば、外出先でも手軽に香りを楽しめます。お守りアロマとして、PMSや更年期のお悩みにもおすすめのレシピです。

南国リゾート気分の練り石けん

香りの強いイランイランは石けんづくりにもおすすめです。手を洗うたびにフローラルな香りに包まれて、手洗いの時間も癒しになりますよ。

相性の良い他の精油との組み合わせ

イランイランと相性の良い精油

イランイランの甘く濃厚な香りは、柑橘系とブレンドするとバランスがとれます。香りが強いので少しずつ加えてみましょう。ブレンドに少し加えるだけでも、リッチな華やかさを与えてくれます。

ベルガモット、オレンジスイート、グレープフルーツ、レモン、ゼラニウム、マジョラム、ジャスミン、ローズ、ネロリ、サンダルウッド、ベチバー

イランイラン精油の注意事項・禁忌

さまざまな効果が期待できるイランイラン精油ですが、安全に楽しむために以下の点に注意しましょう。

敏感肌への使用

イランイラン精油は、濃度が高い場合、皮膚に刺激を与える可能性があります。肌に原液のまま使用することは避け、必ずキャリアオイル等で希釈してから使用してください。イランイラン精油の皮膚への使用に関して、IFRA（国際香料協会）は最大使用濃度を0.8%と定めています。これは、キャリアオイル50mlに対して約8滴の精油を加える割合に相当します。この濃度を超えると、皮膚刺激や感作のリスクが高まる可能性があるため、特に敏感肌やアレルギー体質の方、皮膚に損傷がある場合は慎重に使用してください。使用前にはパッチテストを行い、異常がないことを確認することをおすすめします。

使用量は控えめに

イランイラン精油は、強い香りを持つため、過度に使いすぎると頭痛や気分が悪くなることがあります。使用量は控えめにし、ほのかに香りを感じる程度にしましょう。（芳香浴やアロマバスなら1滴でも十分香ります）

上記の注意点に加え、「高品質な精油を使う」「皮膚に使う際は必ず希釈する」など基本的なルールを守り、精油を正しく活用しましょう。

まとめ

ストレス解消からセンシュアルな雰囲気づくり、身体的なトラブルまで、多彩な効果が期待できるイランイラン精油。エキゾチックでフローラルな香りは、心を温めて幸せな気持ちにさせてくれます。精神的な疲れを感じるときや、女性としての魅力を高めたいときに、イランイランの香りの力をぜひお役立てくださいね。

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