さまざまな使い方ができる天然の精油(アロマオイル)。なかでも呼吸器系のトラブルや、気分のリフレッシュに効果的な利用法が「吸入」です。
今回は、精油の吸入法の基本をはじめ、アロマテラピーでポピュラーな蒸気吸入法のやり方、お悩み別におすすめの精油まで徹底解説します。
アロマの吸入について詳しく知りたい人や、吸入にチャレンジするのに不安や心配事がある人に向けたお役立ちガイドです。さっそく、見ていきましょう!
小田 ゆき
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト
アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。セミナー講師、コラム監修、メディア出演などで幅広く活動中。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。プライベートでは1児の母。詳細プロフィールはこちら
アロマの「吸入法」とは?その特徴とメリット
精油の吸入法はアロマテラピーの一種で、精油の香りを鼻や口から吸い込む方法です。
鼻や喉に直接働きかける
精油の香りを積極的に吸い込むことで、その芳香成分が呼吸器系にダイレクトに作用します。精油の抗菌・抗ウイルス作用や抗炎症作用などにより、風邪のひきはじめや花粉症、鼻炎など呼吸器系の不調の緩和に役立ちます。
脳に最もスピーディに作用
また、香りの情報が速やかに脳に届くのもアロマの吸入法の利点です。
感情や自律神経を制御する脳の部位を刺激し、気分の切り替えをはじめ、パニック、頭痛、車酔い、吐き気などの神経系に関係するトラブルにも即効性が期待できます。
吸入法の利点
- 即効性: 香りは吸い込むとすぐに脳に届き、心地よい感情やリラクゼーションを促すことができます。これは、ストレスや不安をすぐに軽減したい場合や、集中力を向上させたいときに特に有用です。
- 手軽さ: 吸入法は、特別な道具がなくても行えます。ティッシュやお湯に精油を垂らすだけで、どこでもその香りを楽しむことができます。
- 呼吸器系への効果: 鼻や喉の不快感を和らげたいとき、呼吸器系に有用な精油を直接吸入すると効果的です。
吸入法の具体的な楽しみ方
さまざまな楽しみ方ができる「アロマの吸入法」。基本の使い方をマスターして、お悩みやライフスタイルに合わせて最適な方法を取り入れてみましょう。
基本① ティッシュに垂らす
最も簡単な吸入法が、ティッシュやハンカチ※に垂らす方法です。精油を1〜2滴落とし、それを鼻に近づけて深呼吸しながら香りを楽しみます。外出先や移動中でも手軽に行えるため、すぐに気分転換したいときや、車酔い・二日酔いなどに取り入れやすい方法です。
※精油によってはシミになるものがあります。ハンカチなど布類に垂らすときにはご注意ください。
基本② お湯に垂らす「蒸気吸入」
アロマテラピーの吸入法で最もポピュラーなのが「蒸気吸入法」です。立ち上る蒸気とともに精油の芳香成分を吸い込む方法で、とくに乾燥しがちな冬に役立つ取り入れ方です。蒸気を逃さないように、頭から大きめのタオルをかぶって行うとさらに効果的です。ただし、お湯の熱と蒸気で香りが揮発しやすくなるため、以下の点に注意しましょう。
蒸気吸入の注意事項
- 精油を垂らした直後に顔を近づけすぎない(強い香りでむせてしまうことがあるため
- 必ず目を閉じて行う(精油成分が目の粘膜を刺激することがあるため)
- 咳が出るときや喘息の人は避ける(粘膜を刺激し、咳を誘発してしまうことがあるため)
- お湯を間違って飲まないようにする。(マグカップなどで行う際は注意)
蒸気吸入の具体的な方法を以下にご紹介します。
<蒸気吸入のやり方>
- 洗面器(もしくは使用していない耐熱性のマグカップなどでもOK)に40〜80度程度※のお湯を入れる。※お湯の温度が高すぎると、精油成分がすぐ揮発してしまうため。沸かした湯に少し水を加えると◎
- 精油を1〜3滴垂らす。
- 目を閉じてから蒸気に顔を近づけ、深呼吸するようにゆっくりと蒸気を吸い込む。
- そのまま蒸気が出なくなるまで5〜10分ほど行う。
<後片付けについて>
精油を垂らしたお湯はそのままシンクに流し、洗面器等の使用用具は食器用洗剤で洗えばOKです。
その他、お手軽アイデア♪
マスクに垂らす
マスク(※直接肌につかない部分)に精油を1滴垂らせば、マスクをつけている間に心地よい香りを楽しむことができます。とくに風邪・花粉症の季節におすすめの方法です。ただし、肌に直接精油が触れないように注意してください。精油は非常に濃縮されているため、肌に直接触れると刺激を引き起こすことがあります。初心者の方はアロマスプレーを作り、マスクの外側に吹きかける方法がより安全です。
アロマスティック(インヘラー)
アロマスティックはインヘラーとも呼ばれ、スティックの形状をした携帯用の芳香吸入器です。一端に精油を滴下し、もう一端から香りを吸い込みます。香りが周囲に広がりにくいので、とくに移動中やオフィスでの使用に便利です。
アロマペンダント
専用のアロマペンダントに精油を数滴垂らし首から下げておけば、一日中その香りを楽しむことができます。
吸入に役立つおすすめの精油〜お悩み別〜
風邪予防・鼻炎・喉ケア
- ユーカリ・ラディアタ
- ティートリー
- ラヴィンツァラ
- ローズマリー・シネオール
- フランキンセンス
不安・緊張
集中力アップ
- ペパーミント
- ローズマリー・シネオール
- グレープフルーツ
吐き気・車酔い
- ペパーミント
- ライム
- レモン
吸入法を安全に楽しむための注意事項
精油の吸入法は一般的に安全な方法ですが、以下の注意点を考慮することが重要です。
適切な使用量を守る
精油は非常に濃度が高いため、少量で十分な効果が得られます。一度に大量の精油を使用すると、頭痛や吐き気などの不快な副作用を引き起こす可能性があります。また、精油成分が粘膜を刺激することがあるため、長時間の吸入は避けます。
良質な精油を使う
合成化学物質や添加物が含まれていない純粋な精油を選びましょう。精油の品質が低いと、その効果が低下したり、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。
直接肌に触れさせない
精油は肌に直接触れると刺激を引き起こす可能性があります。吸入を行う際には肌に直接精油がつかないように注意しましょう。
吸入法に注意が必要な人
吸入は芳香浴よりもダイレクトな使用法です。低年齢の小児(目安として5歳以下)には刺激が強く、悪影響を及ぼす可能性があるため避けましょう。妊娠中や授乳中、病気のある方(特にてんかんなど中枢神経系障害を抱えている方は注意)は、事前に医師に相談して安全性を確認してから行ってください。高齢者・既往歴のある方は通常の半分以下の量で試し、不快感や異変を感じた場合は使用を中止します。
アロマの吸入法で心身をリフレッシュ!
いかがでしたか?
手軽さと即効性が魅力の「アロマの吸入法」は、ぜひマスターしておきたいアロマテラピーの活用法のひとつです。
目的やお悩みに合わせて精油を選べば、効果も一層高まります。
心地よい香りを楽しみながら、心と体の状態を健やかに整えていきましょう♪