爽やかな柑橘系の香りと共に、心を明るく前向きにしてくれるベルガモット精油。アールグレイティーでおなじみのこの香りには、ストレス解消やリラックス効果など、心理面で優れた効能があります。
本記事では、ベルガモット精油の効能や効果的な使い方について、アロマテラピーの専門家の知見をもとに詳しく解説します。初めての方でも安心して使えるよう、具体的な活用法から注意点まで、すべての情報をこの1つの記事にまとめました。
小田 ゆき
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト
アロマ専門メディア『AROMA LIFESTYLE』主宰。YouTubeでもアロマ情報を発信し、チャンネル登録者は2万人を超える。セミナー講師、コラム監修、メディア出演などで幅広く活動中。自身の経験を踏まえた、わかりやすく丁寧なレッスンに定評がある。プライベートでは1児の母。詳細プロフィールはこちら
ベルガモット精油とは?
ベルガモット精油は、柑橘系の爽やかな香りを持つ人気のアロマオイルです。イタリア・カラブリア地方原産のベルガモットオレンジの果皮から抽出され、アールグレイティーの香り付けにも使用される高貴な精油です。
その香りは、柑橘系の中でも特に華やかで上品な印象を持ち、フルーティーでフローラルな要素も含む複雑な香りが特徴です。この独特の香りは、古くからヨーロッパの香水産業でも重宝されてきました。心を明るく前向きにする効果があることから、現代のアロマセラピーでも広く愛用されています。
原料植物について
ベルガモットオレンジの特徴
紅茶アールグレイにも使われる“香り高い柑橘”
ベルガモットオレンジ(学名:Citrus bergamia)はイタリアを主産地とする柑橘の一種です。ダイダイとレモンあるいはライムの交配種と言われ、実を掴んだだけで手に芳香が残るほど香り高い植物です。果肉や果汁は苦味が強いため、食用に利用されることはほとんどありませんが、皮から抽出される精油(エッセンシャルオイル)が紅茶のアールグレイの香りづけをはじめ、香水、化粧品の香料として使われています。
ベルガモットオレンジの栽培は非常にデリケートで、その90%以上がイタリアのカラブリア地方のイオニア海沿岸部で行われています。この地域特有の気候と土壌が、最高品質のベルガモット精油の生産を可能にしています。
果実は12月から3月にかけて収穫され、収穫後すぐに果皮から精油が抽出されます。伝統的なコールドプレス製法により、果皮に含まれる精油成分を丁寧に抽出することで、最高品質の精油が得られます。
ベルガモットの歴史・エピソード
ベルガモットの名前の由来は諸説ありますが、イタリア北部の小都市ベルガモで最初に栽培されたことからと言われています。中世ヨーロッパでは貴族や富裕層の間でベルガモットが人気のある香料となり、ナポレオンやゲーテも愛用したという世界最古の香水「ケルンの水」、フランス語では「オーデコロン」のベースにもなっています。
ベルガモットの精油データ
精油名 | ベルガモット |
学名 | Citrus bergamia, Citrus aurantium ssp. bergamia |
科名 | ミカン科 |
主な産地 | イタリア、コートジボワール |
主な抽出部位 | 果皮 |
主な抽出方法 | 圧搾法 |
揮発度 | トップ〜ミドルノート |
香りの強さ | 弱〜中 |
主な芳香成分 | リモネン、酢酸リナリル、リナロール、ベルガプテン |
主な作用 | 鎮静、誘眠、抗うつ、高揚、抗菌、消化促進、鎮痙、駆風、緩下 |
ベルガモット精油の主な効能・効果
効能① リラックス・ストレス緩和
ベルガモット精油は、心理面に特に優れた効果を発揮します。
他の柑橘系の精油と異なり、ベルガモット精油にはラベンダー精油の主要成分でもある酢酸リナリルやリナロールといった鎮静作用のある成分を多く含むため、ストレスを緩和し、心を落ち着かせる作用があります。特に、緊張や不安を感じやすい方にとって、心強い味方となります。また、気分の落ち込みや憂うつな気分を改善する効果も報告されており、日常的なメンタルケアに活用できます。
ベルガモットの芳香浴(空気中に香りを拡散して香りを楽しむ方法)により、自律神経が整い、不安や精神的疲労が軽減するという実験結果1)や、ストレスを受けた時に増えるコルチゾールというホルモン濃度が下がり、免疫力がアップすることが研究2)で確認されており、心身のバランス回復に力を発揮してくれます。
1)渡邉 映理, 他(2013) ベルガモット精油による芳香浴の自律神経系および情動に及ぼす効果. Aroma research = アロマリサーチ : journal of aroma science technology and safety 14(2):150-154.
2)枝 伸彦, 他,(2019) エッセンシャルオイルによる香り刺激が口腔内免疫能に及ぼす影響についての生理心理学的研究. アロマテラピー学雑誌 20(3):28-37.
ベルガモット精油は「天然の抗うつ剤」とも言われ、季節性感情障害(SAD)の患者に使用することで、太陽光を浴びたときのような抗うつ効果を与えることが研究でわかっています。自律神経失調症やパニック障害に悩まされた経験のある私にとって、ベルガモット精油は心のお守ともいえる頼もしい存在です!
効能② 自律神経を整える
ベルガモット精油は、心だけでなく身体にも多様な効果をもたらします。
自律神経系に働きかけることで、心身のバランスを整える作用があります。特に、ストレスによって乱れがちな自律神経の調整に効果的です。また、血行促進効果により、冷えや疲労の改善にも役立ちます。
さらに、消化器系への働きかけも特徴的で、食後の不快感や消化不良の緩和にも効果が期待できます。これは、ベルガモットが持つ、消化器系を整える作用によるものです。
効能③ 美容・スキンケア効果
肌ケアの面でも、ベルガモット精油は優れた効果を発揮します。
特に、ニキビや吹き出物といった肌トラブルに対して効果的です。これは、精油が持つ抗菌作用と、皮脂分泌を正常化する作用によるものです。また、肌のターンオーバーを促進する効果もあり、くすみの改善や肌の明るさアップにも貢献します。
ただし、ベルガモット精油には光毒性があるため、日中のスキンケアでの使用は避け、夜のケアに限定することをおすすめします。
その他期待できる効能
- 抗ウイルス、抗菌作用(感染予防、ヘルペス、帯状疱疹、膀胱炎などに)
- デオドラント
- 鎮痙作用(生理痛などに)
ベルガモット精油の使い方&活用レシピ
嗅ぐ(芳香浴)〜不安や緊張をリセット〜
不安や緊張を感じるときは、ティッシュもしくはハンカチにベルガモット精油を1、2滴垂らし、鼻に近づけて香りを楽しみましょう。呼吸が深まり、気持ちが落ち着いてきます。寝る前に枕元に置いたり、ポケットやカバンに入れてお守りのように持ち歩くのもおすすめです。
※精油を垂らした部分が直接肌や家具に触れないように注意しましょう。
私にとってベルガモット精油は「心のお守り」です。疲れすぎて眠れない時にベルガモット精油を1滴垂らしたティッシュを枕元に置いて寝ると、心地よい香りに包まれて寝つきがよくなりますし、翌朝の起きたときの感覚が違います。
アロマバス 〜疲れ切った心と体を癒す〜
誘眠作用のあるベルガモット精油は、バスオイルやバスソルトにしてお風呂に使うのも効果的。1日の疲れもほぐれて、ぐっすり眠ることができます。フランキンセンス、ゼラニウム、イランイランとブレンドするのもおすすめです。
※アロマオイル(精油)は必ず植物油や乳化剤で希釈してからお風呂に入れましょう。
アロマスプレー 〜気分転換や持ち運びに〜
アロマスプレーを手作りしておけば、いつでも必要なときに手軽にベルガモットの香りを楽しめます。持ち運びもできるので、外出先や職場でのリフレッシュにもぴったり。ストレス解消にはプチグレンやフランキンセンスと組み合わせたり、デオドラント用にラベンダーやペパーミントとブレンドして夏場のボディミストに使うのもおすすめです。その場合、光毒性の原因成分を除去したFCFタイプの精油を使うと安心です。
- スプレー容器に無水エタノール5mlを入れる。
- ベルガモット精油6滴を加えて、軽くボトルをゆすって混ぜる。
- 水を25ml入れて蓋をしめてよく振ったら完成。 ※使用期限は冷暗所保管で1週間。
アロマスプレーの詳しい作り方は以下記事をご参照ください。
相性の良い他の精油との組み合わせ
ベルガモット精油と相性の良い精油
ベルガモット精油は繊細な香りを持つことから、さまざまな精油とよく合います。とくに柑橘・フローラル・ハーバル・レジンなど幅広い精油と調和します。光毒性があるため、香水づくりやボディケアには光毒性の原因成分を除去したFCFタイプが使いやすいですが、通常の精油に比べると芳香がやや軽い印象になります。用途に合わせて選んでみましょう。揮発が速いトップノートに分類されるため、ある程度香りを持続させたいときは花や樹脂、木などのミドルノートやベースノートの精油とブレンドするとよいでしょう。
柑橘系、レモングラス、ラベンダー、ゼラニウム、クラリセージ、ネロリ、プチグレン、バジル など
ベルガモット精油の注意事項・禁忌
さまざまな効能が期待できるベルガモット精油ですが、安全に楽しむために以下の点に注意しましょう。
光毒性に注意する
ベルガモット精油には光毒性といって、皮膚に塗った状態で紫外線にあたるとシミや炎症を引き起こす成分が含まれているので、日中に顔やボディに使うのには向きません。肌への使用後は紫外線(日光や日焼けサロン)を12〜18時間は避けるか、光毒性の原因成分(フロクマリン類)を除去してある「フロクマリンフリー(FCF)」の精油を使うのが安心です。
敏感肌への使用
ベルガモット精油の主成分であるテルペン類は希釈濃度や使用量によっては皮膚刺激を感じることがあります。アロマバスやマッサージなど肌に触れる用途に使う場合、敏感肌や高齢者の方は通常よりも低濃度から始めるなど、様子を見ながら使用しましょう。
ベルガモットの香りを味方につけて、忙しい日々に癒しを
ベルガモット精油は特に精神面への作用に優れ、不安や緊張、気分の落ち込みなど心のケアに大きな助けとなってくれる1本です。
万人に好まれる柑橘の香りは初心者さんにもおすすめ。日頃の疲れのリセットに、心地よいベルガモットのアロマを取り入れてみてはいかがでしょうか。
ベルガモット精油は私もお気に入りの香りのひとつ。アロマバスや就寝時に使うことも多いです。疲れている時にベルガモットの香りを嗅ぐと、頭の緊張がほぐれて、体もすっと軽くラクになります♪
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